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がんになって揺れ動く感情について、藤岡典代さんに縷々うかがってきました。けれどそれを乗り越えた人は本当に強いということも教えていただきました。

今回は、そのもうひとつ先の「究極の心の安定」についてうかがいました。

 

信頼されているという実感

 

──典代先生は、長年がんの患者さんの心理面に寄り添ってカウンセリングをしてこられたわけですが、心が本当に安定するのはどういうときなのでしょうか?

 

病気になっていちばん大事なのは希望と信頼です。

希望をもつこと、そして信頼をすること、信頼されることです。

信頼することも大事だけれど、信頼されているという実感ほど心地いいものはありません。

自分がどうであれ、愛されている、自分が何を選択しようがその人が認めてくれているということです。

それはサイモントン療法の仲間たちから感じました。

 

──典代先生がスーパーバイザーをされているサイモントン療法(がんの心理療法)をおこなっている方々ですね。

 

そうです。

がんになると、多くの方が、「今日はお加減どうですか」とか、「心配しています」とか言ってくださいます。

だけど、サイモントン療法の仲間たちが私にかけるのは、「いつも大丈夫だと信じているよ」といった言葉です。

その大丈夫というのは、私が私なりに良い選択をして、良い療養生活、良い道をたどって、そこからいい人生を切り開こうとしている、そこを信じているよ、という意味です。

 

自分が信頼されているという実感は、とても心地よいものですし、いつも私の力づけになります。

だから、家族間でも友人の間でも、そういうコミュニケーションができるといいと思います。

 

──「心配しているよ」ではなくて、「信頼しているよ」ですね。

 

そうです。

「あなたが元気になることを信頼しているよ」とか、「あなたが選んだ方向はとてもいいことだから、それを応援するよ」といったことです。

 

藤岡典代さん

 

身近な人ほど心配のあまり患者さんをコントロールしがちです。

でも、そういうふうに信頼するということ、信頼されるということの両方が大事です。

 

希望をもつということ

 

希望をもつということは、それが叶うとか、叶わないではないのです。

治るから希望があるとか、治らないから希望がないということではないのです。

自分がそうなると信じることが希望をもつということです。

 

叶うとか叶わないとかにかかわらず、そうなると信じることが希望の概念です。

ですから希望を見失わないというのはそういうことです。

 

──叶う叶わないにかかわらず、そうなると信じる。

 

はい。自分が元気になりたいという希望は常にあるのです。

希望がなくなったという言い方をしますが、それはあり得ない。自分がそう信じる限り希望はあります。

それに向かって何をしていこうかということは、すべてが関係性ですから、自分にとってこれがいいとかこれがいいとか思うところを取り入れていけばいいわけです。

これはオンリーワンです。オリジナルです。

 

もちろん良好な結果を得ている患者さんから他人を見習う点はあるかもしれない。

でも、まったくそれは人それぞれです。自分にとっての「良い」を見つけることです。

 

──自分にとっての「良い」を見つけること。これは自分への信頼の中から生まれるものですね。

 

信頼されるのもとても大事ですが、自分を信頼すること。究極は、ここなんだと思います。

 

──貴重なお話を、ありがとうございました。(聞き手・良本和惠)

13回にわたって行われたインタビューは、これでいったん終了します。
今後、藤岡典代さんには、Q&A形式の記事でご登場願います。
身近にがんの患者さんがいらっしゃる方、あるいはご本人さま、どうぞ、藤岡先生に相談したいことなどをお知らせください。ご本人のプライバシーは厳守いたしますので、安心してご相談くださいませ。

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藤岡典代(ふじおか・ふみよ)

薬剤師・心理カウンセラー。夫が院長を務める藤岡医院でがん治療コーディネーターとして、患者を心理面から支えてきた。医療の範疇を超えた事業活動をめざして、株式会社テトテトテを設立。料理家の本道佳子さんと共にがん患者と家族のために、病気との決別をおこなう「最期の晩餐・食事会」はメディアを通して注目を浴びる。

 

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