昨日お会いした出版社さんの話です。

 

「うちでは印刷製本までできちゃうんですよ」

 

「えーっ? 印刷機を買ったということですか?」(私)

 

巨大な印刷機(輪転機)を想定してびっくりしたのですが、
そうではなく、オンデマンド印刷機と製本機を買われたということ。

 

 

 

オンデマンド印刷は書籍用印刷機とプリンターの間くらいのクオリティで、
文字だけの本だとオンデマンドかどうかはパッと見、わかりません。
しかも少部数に対応できるので、気軽に印刷できます。

 

 

その会社は、絵本のように大部数かつクオリティを求められる書籍は大手印刷会社で刷り、
少部数のものは自社でやるという方針を固めたようです。

 

ついに、出版社も印刷製本までやる時代になったのか・・・・。

 

紙書籍の場合、コストの大半を印刷製本代が占めています。
それは直接定価に跳ね返ってしまうので、そこをいかに抑えるかは最重要課題です。

 

だから、その発想は分からないではありません。
印刷機は1台何億といわれていますが、オンデマンド印刷機なら中古で数百万。

 

 

 

 

私が出版業界に入った30年前は、赤ペンと電話と机があれば出版社はできると言われていました。

 

編集でやるのは原稿用紙に赤字を入れるまで、
あとの工程は印刷会社がやってくれていたのです。

 

それが今や、組版してゲラに仕上げ、ゲラの修正、図表の作成、写真原稿の修正までを出版社がおこない、
後は刷るだけの完全原稿のかたちにして印刷会社に渡すというのが主流になりつつあります。

 

 

そこへ来て、印刷製本まで!
つまり、出版社には、編集能力以外のさまざまな技能が求められ、
それに付随してこまごまとした作業をこなす力がますます求められる時代になったってわけ?

 

 

 

隔世の感を抱きつつも、その出版社さんに、
「うちの本もお安く作ってくれませんか?」と
思わず打診をしていた私でした。

(なお、この出版社さんとは、ある楽しい企画を進めています。)

 

(良本和惠)