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子育て・絵本
キツネのフーくんと風の郵便屋さん
作・葉山祥鼎 絵・葉祥明
山に生まれたキツネのフーくんは、山のことしか知りません。
そんなフーくんの楽しみは、風の郵便屋さんが配達してくれる知らない世界のお話です。
今日もフーくんは、丘の上の木の横に座っています。
やがて風がそよぎ、風の郵便屋さんがやって来ました。
今日の郵便は、海に住むイルカの話。
話を聞いているうちに、フーくんは、イルカに会いたくてたまらなくなりました。
その時、風の音がゴーッと唸り、フーくんの体は宙に浮いて……
雄大な自然は、子供の感性と想像力を育む
高くそびえる山々に豊かな大地、そして水平線いっぱいに広がる海。
日本の複雑な地形は、美しい自然をはぐくんでいます。
『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』は、そんな日本の雄大な自然を舞台に繰り広げられます。
この物語は、阿蘇の自然環境保全に取り組み、「ビレッジ・トラスト」運動を推奨している作家・葉山祥鼎さんが、実際に阿蘇の丘にやって来るキツネの行動をヒントに作り上げました。。
見えないものが見えてくる
物語の中には、たくさんの風の郵便屋さんが、あちこちに行き来しているシーンがあります。目には見えないけれど、現象としてあるのが風です。
ふと、空を見上げたとき、たくさんの風の郵便屋さんが見えたとしたら、それはとてもステキなことです。
そして、風は、匂いも運んでくれます。物語の最初のほうに、「潮の匂い」という表現があります。
山にいても、潮の匂いが漂ってくる。匂いを通して、想像の世界がさらに広がっていきます。
見えないものを頭で描いたり、感じる力をはぐくみます。
作家と画家の初の兄弟コラボ、児童文学絵本
『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』は、「ブルービー」シリーズで知られる作家の葉山祥鼎さんと、『地雷ではなく花をください』で有名な絵本作家の葉 祥明さん(本名=葉山祥明)の初の兄弟コラボによるものです。
あとがきで、葉 祥明さんは、次のように書かれています。
「この物語の舞台である阿蘇は、われわれ兄弟の共通の魂の故郷です。
兄弟での初のコラボレーションは、阿蘇に対する二人からのラブレターのような気がしています。」
作家と画家がそれぞれに、深い愛情をもって描いたこの作品、読み手は、物語を中心に想像の世界で冒険することも、絵を中心に物語をさらに展開させていくこともできるというまさに文章と絵画がドッキングした「児童文学絵本」ということができます。
写真は、葉 祥明さん(左)と葉山祥鼎さん(右)との打ち合わせにて。
子供たちは漢字が大好き! 漢字を多用した美しい文字組
多くの絵本の文章は、ひらがな表記がほとんどで、漢字はあまり使いません。しかし、本書では、漢字を多用しています。
じつは、子どもたちは漢字が大好きです。
幼児期から漢字かな交じりの文章に親しむことで、日本語を正しく感じ取る力がはぐくまれると言われています。
最初に登場する漢字にはふりがなが振ってありますので、楽しみながら漢字を覚えることができます。
著者プロフィール
葉山祥鼎(はやま・しょうてい)
作家・写真家・葉祥明阿蘇高原絵本美術館館長。1948年熊本生まれ。実兄葉祥明のアートプロデューサーを務める傍ら、葉祥明美術館(北鎌倉・阿蘇)の設立に尽力。熊本県阿蘇の環境保全に取り組み、「ビレッジ・トラスト運動」を推奨している。主な著書に、絵本「ブルー・ビー」シリーズ、写真詩集『こころのワンダーランド』、エッセイ『60才からの登竜門』などがある。
葉 祥明(よう・しょうめい、本名:葉山祥明)
絵本作家・画家・詩人。1946年熊本市生まれ。創作絵本『ぼくのべんちにしろいとり』でデビュー。1990年創作絵本『かぜとひょう』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞。1991年鎌倉市に北鎌倉葉祥明美術館開館。2002年故郷の阿蘇に葉祥明阿蘇高原絵本美術館を開館。『地雷ではなく花をください』『ひろいかわのきしべ』『17歳に贈る人生哲学』などをはじめ、人間の心を含めた様々な問題をテーマに創作活動を続けている。
絵本『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』
作・葉山祥鼎 絵・葉 祥明
A4判変型・上製 32ページ 定価1500円+税
企画・発行/登龍館 制作・販売/グッドブックス
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メディア情報
熊本日日新聞の朝刊(2015/10/25)に書評が掲載されました!
10月12日(月・祝)絵本イベント大盛況でした!
児童文学絵本『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』発刊記念
絵本朗読&トークセッション&サイン会
絵本イベント当日は午後3時すぎから、著者の葉山祥鼎さんが
RKK熊本放送(テレビ)の「WELCOME!」に生出演!
児童文学絵本『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』の制作秘話を披露しました。
その効果もあってか、トークイベントにも
定員を超える約60名の方々が集まってくださって、
大盛況でした!!
満員御礼!ありがとうございます。
3歳の娘さんと1歳の息子さんに日々読み聞かせをしているという青谷倫太郎さんの朗読はとても素晴らしくて、フーくんの暮らす「静かで穢れのない世界」へいざなわれるようでした。
「この物語は、現実の世界(阿蘇の大自然)から生まれた」と語る葉山祥鼎さん。「海にも山にもたくさんの命が息づいている」と語る葉祥明さん。
左から、青谷倫太郎さん、葉祥明さん、葉山祥鼎さんです。
葉祥明、葉山祥鼎兄弟の初のコラボ作品である本書には、「売るための」刺激に満ちたゲームや本があふれている今の時代に、本当に子どもたちに与えたいのは「美しい」世界、そして「美しい」言葉だという強い信念と、たくさんの思いが詰まっています。
漢字仮名交じり文は最初は難しいと感じるかもしれませんが、子どもたちは驚くほど吸収&記憶し、どんどん読めるようになっていきます。読めるようになると、文章を読むのが好きになり、本がもっと面白くなります。そして、日本語のすばらしさは漢字仮名交じり文にあるのではないかと気付くのです。
この本を、多くの方に知っていただくよい機会になりました!!
会場には新聞社が2社、取材に来られていました。後日、こんなふうに紹介していただきました!
(熊本日日新聞 2015/10/14)