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blog | 2017.02.09
農家さんの苦労を知る〜食育絵本『トマトくんのありがとう』
ミニトマトなどは育てやすいため、プランターなどで栽培したことのある方も多いのではないでしょうか。
私も何度かベランダ栽培や直植えでトライしたことがあり、なんとなくトマト栽培のことは簡単に考えていましたが、実際に農家さんの苦労話を伺うと、とんでもない誤解でした!!
慣行栽培の農家さんも農薬を減らす努力をしている
食育絵本『トマトくんのありがとう』は、風にも負けず、日照りにも害虫にも負けずに農家さんがトマトくんを育てていく愛情の物語です。
そして、物語の終わった第二部では、トマト農家さんたちがどんな苦労をしてトマトを育てていらっしゃるかについて、九州の生産現場を知り尽くしている中野ユキヒロさんが、大人向けにリポートしています。
まず、趣味で育てているのとはわけが違って、農家さんは大きさの揃ったきれいなトマトを、毎年ある程度の収穫量確保しないと生活が成り立ちません。
予想外だったのが、そんな中で、多くの農家さんが農薬を減らそうと努力していらっしゃることでした。
慣行栽培と言われる現在の一般的な栽培では農薬を何度も使います。だから、当たり前に農薬を使っていらっしゃるのかと思っていました。
今、無農薬や減農薬の野菜をできるだけ食べたいと考える人はどんどん増えていますが、そういった安全で安心な野菜を育てたいと考えている農家さんもどんどん増えているのです。
天敵農法などの工夫
しかし、農薬を減らすと、育てるのにとても手間がかかります。特に虫害が激しい場合などは、出荷量を確保するためにも農薬を使わざるを得ない場面もあるようですが、できるだけ自然な方法で農薬を減らす工夫を常に模索していらっしゃるそうです。
例えば、
①害虫を食べてくれる天敵を農地に放す「天敵農法」。
②唐辛子を使ってイノシシや小動物の侵入を防ぐ方法。
③育てている野菜よりも、虫に取って味の良い(おいしいと感じる)野菜や野草を近くに育てて虫を遠ざける方法。
など。
これまではひと花ずつ人の手で受粉していたものを、マルハナバチに受粉してもらうといった栽培方法も行われていますが、そうするとトマトを栽培しているハウスにマルハナバチを放すことになります。
農薬を使うとマルハナバチが死んでしまいますから、農薬を使わないためにはどうするか……と、知恵を絞り、手をかけて、日々農家さんたちは栽培方法を更新していらっしゃるのです。
手塩にかけた野菜をいただく
世の中の食に対する不信感が大きくなっていますが、九州のトマト農家さんたちのお話を聞いていたら、私たちもちゃんと現状や問題点を知って、より良くしようと努力していらっしゃる農家さんたちの野菜を選び続ける必要があるのだと思いました。
ちゃんと手塩にかけて育てられた安心な野菜を食べることは、健康にもいいし、食育にもいい。そして、たくさんの人がそのチョイスを重ねることが、日本の野菜をもっともっと安心にしていくのではないでしょうか。
今の子供たちが大きくなったときには、農薬なんて気にせずに野菜が買える世の中になっていればいいな、と思います。
(編集部U)
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- この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
- 書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。