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blog | 2016.12.30

熊本・阿蘇の美しさを描いた、葉祥明兄弟のコラボ絵本

 

実在するキツネのフーくんと、美しい丘

 

熊本にある「葉祥明 阿蘇高原絵本美術館」をはじめて訪れたのは、熊本地震が起こる1年以上前のことでした。

葉祥明(よう しょうめい)・葉山祥鼎(はやま しょうてい)ご兄弟から、

「僕たちの絵本をつくるなら、一度はどんな場所か見においで」

と言っていただき、物語の舞台になった阿蘇高原絵本美術館の丘へ、キツネのフーくんに会うために行ったのです。

 

そう、絵本『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』のフーくんは実在するのです。

葉祥明阿蘇高原絵本美術館に広がる丘。こぶしの木のそばにキツネがやってくる

 

葉山祥鼎さんが館長を務める「葉祥明 阿蘇高原絵本美術館」の丘に現れるきれいな黄色のキツネと、阿蘇の大自然から着想を得たという物語を、そのときすでに読ませていただいていました。

自分の頭のなかでフーくんと阿蘇の自然のイメージがすっかり思い描けていたつもりでしたが、東京から熊本空港へ降り立ち、熊本城を見上げて阿蘇へ向かい、澄んだ空気を吸いながらカルデラの大地に包まれると、私の頭のなかにあるイメージなんて薄っぺらかったことがわかりました。

 

葉祥明さんが描く色も世界も、現実の阿蘇にあった

 

物語はファンタジーです。創作することで、読者に勇気や希望や、ポジティブな感情を与えることができます。現実だけを描いていては、なかなかそうはいきません。

だからこそ『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』も創作であり、「美術館の丘にいるキツネ」は物語をつくるためのきっかけになった、ぐらいに思っていたのです。

 

だけど、その丘は、物語の世界観そっくりそのままでした。本当にフーくんがいて、風の郵便屋さんが迎えに来るのを待っているのだと言われても、うっかり信じてしまいそう。そんな美しさだったのです。

 

葉祥明さんの絵に描かれるモチーフや景色はどれも明るく澄んだ色合いで、メルヘン画としてとても人気があります。でも、この澄んだ色合いは、葉祥明さんが「魂の故郷」と呼ぶ阿蘇の自然の色でした。意外にも、葉祥明さんの絵は“写実的な”色調だったのです。

 

この大自然と空気のなかで物語が生まれたと知ることは、編集者として大きな収穫でした。

その後、熊本地震で美術館は大きなダメージを受けましたが、少しずつ少しずつ、元の風景を取り戻してきています。

 

キツネのフーくんが風の郵便屋さんに運ばれて、森から海へ知らない世界を見に行く冒険の物語『キツネのフーくんと風の郵便屋さん』。

読んでから阿蘇を訪ねてみてください。きっと感動もひとしおです。

(編集部U)
キツネのフーくんには、大好きな丘があります。
そこにいると、風の郵便屋さんがやって来て、知らない世界の話を運んできてくれるのです。
さて、今日はどんな話を配達してくれるのでしょうか──

森から海へ、風が運ぶ「夢と冒険の物語」

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。