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blog | 2015.12.03

江戸庶民の読書熱(1)絵巻に描かれた本屋さん

江戸市内に貸本屋が656軒
1軒の貸本屋には、得意先が平均170世帯

江戸後期、1808年の記録です。
ちょうどその頃の様子を、私の会社のそば、
日本橋三越本店前の地下道で見ることができます。

「熙代勝覧」(別名、日本橋繁盛記)という絵巻物が複製して掲げられているんです。

日本橋の南詰めから神田今川橋までの表通りの様子が描かれ、
その長さ、16メートル!(複製は実際の絵巻の1.3倍です)

この中に、書肆や書林という看板が三つ。本屋です。
当時は本屋が編集から印刷・製本、流通まで行っていたといいますから、
書店兼出版社ですね。

 

須原屋という文字が見えますか?
江戸の大手出版社・須原屋茂兵衛から暖簾分けした須原屋市兵衛の店です。
杉田玄白の『解体新書』(「ターヘル・アナトミア」の翻訳書)
をはじめとして、画期的な本を出しています。

 

しかし、当時の本は出版部数も少なく、
庶民が気軽に買えるお値段ではなかったとか。
そこへ出てきたのが、貸本屋。
主として、下の絵のような格好で行商したそうです。

 

貸本屋の背中には、
教養書から戦記物、洒落本まで。
底には春画が入っていたのかもしれませんね。

 

この絵巻には描かれていませんが、
日本橋から徒歩数分の江戸橋一丁目あたりには、
書物問屋が集中してあったといわれています。

 

これだけでも、江戸の人々は読書家が多かったことがわかりますね。

 

では、今回はこのへんで。
いずれ、江戸のベストセラーについて書きます。

(書籍編集者 良本和惠)

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。