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blog | 2020.06.01

本の印税とは?

出版に興味のある方や、いずれ本を出したいと思っている方のために、出版にまつわる情報をブログに書いています。今日は印税の話です。

 

印税って何?

本の印税とは、著作権使用料のことです。著作権を持った著者に出版社がその使用料として支払うのです。簡単に言えば、原稿料です。ところで、なぜ印税というのでしょうか?言葉のイメージから税金なの?と思いそうですが、税の類いではありません。むかしの本の奥付には印紙のような小さな紙に検印が押してありましたが、それが印紙税のようだったので、印税と言われるようになったとのことです。

 

本を書いたら、皆もらえるのか

本を書く=印税がもらえると思っている方が多いようですが、すべての著者に印税が入るわけではありません。
印税をもらえるのは、商業出版の場合です。つまり、出版社の責任と負担で出す本に対して著者への謝礼として支払われるのが印税となります。ですから、自費出版には基本的に印税は支払われません。自費出版を書店などで売って得られた収益は、出版社との間で話し合って決めますが、それは印税とは言いません。多くは、収益から販売手数料を差し引いて著者に支払われます。

 

印税はどのように計算する?

さて、印税の中身ですが、本体価格が基準となります。
本体価格とは、カバーの裏に表示されている消費税抜きの金額です。
作家さんや本を何冊も書いている著者は、通常は、本体価格の10%、新人さんは売れないリスクもあるので、5%~8%といったところでしょうか?また、本の中にイラストや漫画が多用されている場合、本のページ数に占める割合でイラストレーターさんや漫画家さんに按分されたりします。(イラストレーターや漫画家には原稿料として一括払いという場合も多いです)

では、具体的にいくら入るのか、具体的に見てみましょう。
本体価格が1000円だとしたら、10%の印税だと、1冊に100円となります。初版部数が5000部とします。
刷り部数に対して印税が支払われる場合は、50万円となりますが、実売部数に対して印税が支払われる場合は、保証部数と実売部数に分けられ、例えば、最初は保証部数の2000部の20万円で、あとは実売に応じて支払われるということになります。
執筆の労力への対価として20万円は安いとなった場合、定価を高く設定したり、保証部数を多くするなど検討します。ただし、新人さんの場合は初版部数が5000部行けたらラッキーなほうで、1500部や2000部くらいからのスタートと考えておいたほうがいいかもしれません。

 

売れれば売れるほど入ってくる

もちろん、初版が好評で重版した場合も、印税は適用されますので、売れれば売れるほど印税は入ってくることになります。ただし、出版社によっては、2刷からの印税を低く設定するところもあるようですので、契約の際によく確認しておきましょう。

 

印税が支払われるタイミング

印税は発刊の翌月か翌々月に支払われる場合が多いようです。その際には、源泉税が引かれることになります(個人の場合)。そして、年末に支払い調書が発行され、それを持って確定申告をします。この際に、本を執筆する際に出て行った資料代とか交通費などを経費として申告すれば源泉税としてひかれた分を取り戻すことができます(領収書やレシート必須)。
出版社によっては原稿料の一括支払いというところもありますので、あとでこんなはずではなかったということにならないためにも、率直に聞きましょう。ちなみに、原稿料の一括払いは、初版の印税に比べて多い金額が提示される場合が多いようです。重版が見込まれる売れ筋になると思ったら印税方式を、初版で終わりと思ったら原稿料方式がいいでしょう。

どうでしょうか? 作家が執筆だけでは食べていけないということが分かるような気がしますね。しかし、出版の目的はお金だけではありません。
出版することによって自分の世界が広がったり、ステータスが上がったり、多くの人とつながることができたり、影響を与えたり、幸福をもたらしたり、次のチャンスに結びついたり…
と、こんなふうに出版は、多くの可能性をもたらします。いつか本を出したいと思っている方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

良本和惠(書籍編集者)

出版社グッドブックスでは、ウータンと一緒に本を書こうというプロジェクトを行っています。
皆さんも、本を書いてみませんか?


この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。