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blog | 2016.10.19

本のジャンルと種類はどう分類されているか

 

本のジャンルは多岐にわたります。

出版社でも、本をどのジャンルのものとして出版するかは、実は悩みどころです。

どちらにでも分類できそうな本がいろいろあるからです。

 

でも、無理矢理、え~い! とばかり分類して、分類コードを振って出版しています。

 

さて、図書館では「日本十進分類法」(補足で紹介)で分類していますが、ここでは、主に本屋さんでの分類を紹介します。

 

とは言え、本屋さんでもまちまちですので、以下は、だいたいというところで。

 

ここでは、多くの本が分類されそうな5種類のジャンルについて紹介します。

5種類のジャンルをかいつまんで紹介する動画を作ってみましたので、ご覧下さい。

 

文芸

 

文芸書はもっともポピュラーな「読み物」で、

文学(小説)、エッセイ、詩歌・短歌・俳句、戯曲などが含まれます。

 

文芸書を代表するは「小説」でしょう。

 

純文学、大衆文学、歴史小説などに分類することもできますが、

「小説」を定義するなら「散文で書かれた虚構にもとづく作品」くらいになります。

 

韻や律を踏む「韻文」ではなく、形式自由な「散文」の作品です。

ちなみに、英語の「novel」を「小説」と訳したのは、明治時代の作家、坪内逍遙と言われています。

 

日本では源氏物語や枕草子からはじまって、現代までそれこそ数限りなく創作され、詩歌、俳句、短歌などの韻文作品とともに、私たちの感性をはぐくむ主要な要素となっています。

 

虚構とはいえ、人物モデルがあったり、史実を脚色したりと、想像だけの作品とは限りません。もちろん、海外の作品も多数、読まれています。

 

私たちの感性に直接、訴えてくるので、ヒットすれば社会的な現象になったりします。

 

本屋さんで、いちばん目立つところに置かれているのは、こうした作品であることが多いです。

 

 

実用

 

実用書は、生活にかかわるような、何か身近な目的があって読む本です。

健康、料理、育児、趣味、スポーツ、美容、冠婚葬祭など多岐にわたります。

 

地図や旅行ガイドなどは、独立したジャンルになっていることも多いですが、広くは実用書に分類されます。

 

誰にでも読めるように、比較的やさしい言葉で書かれているものが多く、内容が専門的で高度な場合は、たとえば健康書は医学に、育児書は教育にという具合に、専門書にジャンル分けされます。

 

 

ビジネス・経済・経営

 

広く、経済や仕事(一般企業)に関する本が分類されます。

 

経営は、経営学、経営管理、マーケティング、組織論、税務・会計など、

経済は経済学、金融・財政、産業・貿易など、比較的はっきりした枠組みがありますが、

ビジネス書には、仕事にかかわるもろもろの本が含まれ、ジャンルが明確とはいえません。

 

仕事の上達法や金銭に関わるものが中心ですが、優れた企業や人の紹介、国際事情、歴史的背景など、教養書としての側面も持つジャンルです。

 

また、単なるスキルアップ方法だけでなく、職業人としての人生観やものの見方、メンタル・ケアなど、さまざまな自己啓発書もビジネスに含まれます。

 

ただし、自己啓発書は、より心理に比重を置くものは、心理(人文書)に分類されます。対人関係の技術などは、ビジネスにするか、心理にするか、ジャンル分けの担当者が悩むところです。

 

 

児童書・学参

 

児童書は絵本、童話、学習図鑑、学習まんがなどで、

学参は小学生・中学生・高校生の学習参考書で構成されるジャンルです。

 

児童書には、学習用のカルタなど、教材的なものも含まれます。本来は独立したジャンルですが、辞典、辞書類も学参に置かれることが多くあります。

 

「大人向けの絵本」も根強い人気がありますが、他に適当なジャンルがないからでしょうか、児童書のコーナーに置かれることが多いようです。

 

 

専門書

 

ジャンルと言うよりも、人文科学、社会科学、理工科学、医学、芸術など、専門的な内容を持った本の総称です。

 

人文科学には歴史、哲学、宗教、心理学などが分類され、社会科学には、社会、政治などが、理工科学には物理、工学、コンピュータ、化学、生物、地学、天文などが分類されます。

 

社会学や政治学は、基本は専門的分野ですが、「旬の話題」を狙った本が多く、一般の関心の高さから、「社会」や「政治」として独立して分類されたり、「ノンフィクション」としてまとめられていることが多いです。

 

理工書では、特にコンピュータ関係書が、独立して棚が構成されていることが多いようです。

「環境」や「原子力発電所」問題などは、理工でもあり、社会でもありと、分類のむずかしいものとなっています。

動画にしてみましたので、ご覧下さい。

補足

 

ここでは触れませんでしたが、コミックやゲーム攻略本などもたいへんな人気です。

また、文庫や新書は、内容による分類ではなく、判型(大きさ)による分類です。

選書、選集は出版社が独自に本を選び、体裁を統一してシリーズにしているもので、内容は各社まちまちです。

 

なお、図書館で使用している「日本十進分類法」次のようになっています。

0総記、1哲学、2歴史、3社会科学、4自然科学、5技術、6産業、7芸術、8言語、9文学

(グッドブックス 良本光明)

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。