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blog | 2016.09.16

原稿を出版社に売り込むには

まずは現実の厳しさを知っておこう

「自費出版だと百万以上かかるし、なんとか商業出版に乗る道はないのか」
そう真剣に考えている方のために、素人が原稿を売り込むことの厳しさと、
出版社に売り込む際のポイントについて述べてみたいと思います。

1.じつは歓迎されない「持ち込み原稿」

通常、出版社がどのように単行本をつくっているかというと、

編集者が企画を立てて、
編集会議を経て、
著者に執筆をお願いする

というのが基本です。

その他では、著者と出版社(編集者)との雑談の中で企画が生まれるケース、
著者が「こんなものを書いたんだけれど」といって企画を持ち込むケースもあります。

そんな中で持ち込み原稿はどうかというと、じつはあまり歓迎されません。
日頃お世話になっている著者から 「知り合いから頼まれたんだけど、目を通してくれないか」
と頼まれると無視するわけにはいかないけれど、 それ以外の持ち込み原稿をまじめに読んで、
その中で良いものを出版するという発想は編集者にはないと言っていいでしょう。

 

2.持ち込み原稿が出版されるケースはごくまれ

中堅出版社でさえ持ち込み原稿は月に10本ぐらい入りますから、 大手の出版社には毎日のように送られてきます。
しかし、それが商業出版として本の形になるのは、ごくごくまれです。
筆者の経験からいえば、1%もありません。

持ち込み原稿の成功率は低く、そもそも狭き門なのです。

「一生懸命書いたのだから、最後まで目を通してくれるだろう」なんてことはありません。

封を切らずに放置され、しばらくして、「弊社の路線と合いませんので」と断られるか、 採用・不採用の連絡さえないこともあるでしょう。
出版社からすると、「頼んだわけでない原稿を見ている暇はないよ」ということになるのは、ある意味、仕方のないことだと思います。

 

3.出版社側の厳しい現状を知る

持ち込み原稿がほとんど出版されない背景には、出版業界の厳しい現状もあります。

かつては不況に強いと言われた出版業界も、1990年代から出版不況状態に入り、 なかなか好転しません。
市場規模は年々縮小し、 「大海から湖へ、そして水たまりへ」 などと表現する人がいるくらいです。

狭い水たまりの中で泳ぐ魚は、生き延びていくための餌をさがして必死なのです。

ですから、今やこれまで何冊も書いてきた著者でさえ、 出版を断られるというケースもよく聞きます。
ましてや、実績のない著者の本を出して冒険することなどできない というのが本音なのです。

厳しい話で、本当にすみません。
1冊出版するのに出版社としては200万円弱のコストがかかることを思えば、致し方ありません。

逆に言えば、コストにじゅうぶん見合う企画だったら話に耳を傾けるともいえるのです。

では、あなたの企画や原稿を出版社に持ち込むためにはどうすればいいのでしょうか?

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編集者に読ませるための5つの実践

 

1.コネクションをつくる

有力な著者や、日頃世話になっている外部スタッフからの紹介だと 出版社はむげに断るわけにはいきません。
原稿に目を通すことくらいはするはずです。

原稿を書く傍らで、コネクション作りを始めましょう。
もちろん、紹介者が自信を持って渡せる内容が前提です。

 

2.企画概要書、目次、プロット等をつくる

持ち込み原稿には、
筆者のプロフィール、
企画概要書や目次、
小説ならプロットを添えましょう。

編集者に原稿を読ませるには、
「これは面白そうだ」「なかなか視点がいいね」
と思わせる仕掛けが必要です。

また、原稿にかけた熱い思い、
なぜこの内容を世に出すことが必要なのかといった文章も添えるとよいでしょう。

 

3.原稿を持ち込む出版社は、1、2社に 

紹介者がいない場合、
数打ちゃ当たるとばかりに何社にも原稿を送りつけるのはいただけません。

「この会社に持ち込みたい」と思ったら、
その会社の理念や路線、本作りの特長などを研究し、
「だからあなたの会社で出したい」とアピールするのです。

ここまでやる人はあまりないので差別化が図れるし、
編集者から興味をもたれる可能性が出てきます。

 

4.良い内容であることはもちろんのこと、「売れるかも」と思わせる

出版社や編集者がもっとも気にするのが売れ行きです。

そこで、自分にはこんなネットワークがあるからこのぐらいは買ってもらえる、
といったことを具体的な数字として提示するのです。

「そこそこ売れる」と思わせることができると、出版の可能性は高くなります。

 

5.電話をして、担当者の名前を聞いてから送る

出版社の立場からすれば、電話もなく、いきなり1冊分の原稿を
「○○出版社御中」で送られてきても、
「こっちは、そんなに暇じゃないんだ」となるでしょう。

紹介者がなくて送るのであれば、最初が肝心。電話で
「お忙しい中、恐縮ですが、まずは企画概要書だけでもお目通しいただきたい」
と交渉し、誰に送れば良いか名前を聞き出せれば一歩前進です。

部署名しか教えてくれなければ、届いた頃合いを見計らって電話する。
せっかく時間と情熱をかけて書いた原稿、ここはしっかりと粘りましょう。

情熱と信念があなたをプロの著者へと育てます。がんばってください。

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。