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blog | 2015.12.10

本屋さんから戻ってきた本たち

取次(本の流通業者)から返品がありました。
段ボール3箱、今月の返品です。

全国の書店に置かれて一定期間を過ぎた本が、
取り次ぎ会社を通して定期的に帰ってくるのです。

 

箱を開けると、カバーが汚れたり、オビが破れたりしたものがちらほら。
それらをはずして、新しいカバーやオビを掛け替えると、新品同様になります。
(カバーとオビは、余分に刷っておくのが習わしです)

 

中には、本体が破損して、商品として扱えなくなったものもあります。
これは出版社にとっては、痛手です。
書店や流通過程で破損しても、だれも弁償をしてくれません。
絵本などは、たくさんの子どもが触るため、
戻ってきても商品として再び出荷できないものが出てきます。

 

食品の流通に詳しい友人が、
「小売りや流通段階で商品が破損したら、弁償するのが筋なんだけどね。
出版の世界は厳しいね」と言ってましたっけ。

 

本は、基本的に出版社のもので、
委託というかたちで書店さんに置かせてもらっているのです。
逆に言えば、書店さんは、出版社に本を置くスペースを提供しているともいえます。
今回の返品の中にも絵本が入っていて、
角が少しつぶれているものが何冊か出てきました。悲しいです。

 

汚れが全くなく、店頭に並ばずに帰ってきたものも一目でわかります。
きれいなのですが、せっかく世に出て行ったのに、
だれにも触れなかったということですから、これはこれで悲しいものです。

 

 

昔は、新刊委託して大量に返品されてきても、
また注文があり、書店に並んで売れるというのが当たり前でした。
だから、きれいに磨いたり、カバーを掛け替えたりして次の出荷に備えたものです。

 

本は売れないのに、出版点数はがグンと増えた近年は、
1度戻ってきた本がまた出ていくのは、なかなかありません。
なので、そのまま断裁処分される本たちもあります。

 

だけど、私たちは磨き、カバー・オビを掛け替えて、次の出番を待ちます。

 

だって、いい本たちですから。
必要な方に届けたいのです。

(書籍編集者 良本和惠)

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。