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blog | 2015.03.13

束見本(つか・みほん)という真っ白な本

昔ヒットした『白い本』とは違います

 

昔、『白い本』という本がありました。
真っ白なハードカバーの本でした。

 

私も若い頃に買った一人ですが、
中に何が書いてある本かというと、
開くと、何も書いていない。文字がないのです。
文字だけでなく、罫もない。中も真っ白。

 

 

日記帳と同じじゃん!と言われそうですが、
ISBNコード(書籍コード)が付いて、書籍コーナーに並んでいました。

 

 

それがけっこう売れたんです。

 

オビかどこかに、「あなた自身がつくる本」と書かれていました。

 

それがヒットの理由だったんですね。

 

本を作るたびに編集部に増えていく

 

その『白い本』に近い本、
私たち編集者のまわりでは、本を作るたびに増えていきます。

 

束見本(つかみほん)と呼ばれる本です。

 

 

書籍の束(背幅)や重さ、持ち心地などを確認するために、
また、カバーデザインを行う際の採寸のために、
本文に使う用紙候補やページ数が決まった段階で
印刷会社に何パターンか作ってもらうのです。

 

 

『トマトくんのありがとう』では本文の紙を違えて3パターン、
作ってもらいました。

 

なので、一般には売ってません。

 

 

この業界に入った当初は、捨てようとする先輩編集者に「ください」と言って、
私はコレクションのように集めていました。

 

 

「私だけの本なのだ」と、
日記を書いたりしたこともありましたが、
書籍用紙はインクが染みたり、ボールペンの滑りが悪いとかあって、
けっきょくそのコレクションもいつの間にやらなくなってしまいました。

 

なお、最近は、製本所の労力と時間がかかるため(手作りですので)、ほとんど束見本を作っていないとのことです。

(書籍編集者 良本和惠)

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。