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blog | 2016.10.31

速読って、何だろう?その方法と効果について聞いてみました。

速読というと、ページを高速でめくるため、読書を楽しめないのではないかとか、特殊能力を必要とするといったイメージを思っている方も多いのではないでしょうか?

そこで、元速読インストラクターで、今は脳トレのセミナーなどで活躍中の小松崎未知さんに、速読の原理やトレーニング方法、効果についてうかがいました。

 

速読と右脳の関係

 

──速読というと、どのくらいの速さで読むものなんでしょうか?

 

私が勤めていた速読スクールでは、通常の2倍から7倍の速さで読むことをめざしていました。

たとえば私は、200ページ程度の読み物なら3、40分で読了しますが、1ページあたり10秒ほどのスピードです。

 

──つまり20秒に1度ページをめくる。

 

すごい速さでもないでしょう? 

もちろん、小説ならば、物語をじゅうぶんに楽しむことができますよ。

 

──速読というと、斜め読みとか飛ばし読みというイメージがありますが。

 

かつては斜め読みや飛ばし読みが流行った時期もありましたが、今は、脳トレによって右脳の回路をつないで速く読むパターンと、フラッシュカードのように高速度でページをめくっていくことで脳を速度に慣れさせておこなうパターンの大きく2つではないかと思います。いずれにしても左脳ではなく右脳を使って読むのです。

 

──言語脳といわれる左脳ではなく、感性の脳のほうを使って読むわけですね。どういうことなんでしょう?

 

本はふつう、左脳で音に変換して読んでいます。声に出さなくても、です。しかしそれだと速度が落ちます。音に変えないで右脳を使って読むと、それができるのです。

 

例えば、時計(アナログタイプ)を見たときに、文字盤と針の位置で瞬時に時刻が分かりますよね。いちいち短針が3を指し、長針が12を指しているから3時だなどという読み方をしない。これが右脳の回路で読むということです。

 

でも、これまで左脳で読んでいたのをいきなり右脳の回路で読むなんてできませんよね。それを可能にするのが速読スクールの役割なのです。

小松埼未知さん

 

どんなふうにトレーニングするのか

 

──スクールでは、どんなふうにトレーニングするのですか?

 

講師による講義形式のスクールもあれば、受講者がパソコンのモニターのある文章を目で追いながら訓練するスクールもあります。

私がインストラクターをやっていた楽読(らくどく)では、速読が目的というよりも、それを通して右脳の回路を開き、コミュニケーション能力を高めたり、その人らしい人生を切り開くことをめざしていたので、受講者が輪になって和気藹々と学ぶというかたちを取っていました。

 

そこでおこなっていたのは、「スピード」と「並列処理」の訓練です。

 

左脳はスピードには弱いため、通常の3倍速にするとお手上げ状態になり、右脳が働き出すのです。そこで、英語を3倍速以上でかけ流しています。言語としては理解できなくても、脳はスピードとして捉え、回転速度を上げはじめます。その原理を利用して、右脳の回路を開くのです。

 

並列処理というのは、一度にたくさんのことを処理していくことです。お料理を同時に何品も作ることができるのも並列処理能力があるからです。ですから、女性のほうが得意ですね。左脳は1つのことに向かうのは得意ですが、並行処理は得意ではない。ここで右脳が登場するというわけです。

 

楽読では、3倍速の英語を流している部屋で、本を開いて文字を眺めます。
(読もうとすると左脳が働くので、眺める。)

そして、周りを意識する。(これが周辺視野です。中心視野は左脳が優位なんですが、周辺視野は右脳が優位。)
その状態で皆でおしゃべりをするんです。

つまり4つの並列処理を右脳にさせていくのです。

 

──難しそうですね。

 

そうでもないんです。もともと持っていたけれど使わなかった能力を引き出すわけですから、だれでもできるようになります。

 

10分間この状態でトレーニングするのですが、会話の内容が映像で浮かんできたり、高速で流れている英語のフレーズが聞き取れたり、読もうとしていないのに物語のシーンが浮かんだりする。右脳の回路がつながってくると、だんだんとそうした現象が起きてきます。

 

1回の体験レッスンだけで、2倍や3倍の速度で本を読めるようになる人もいますよ。

 

速読の嬉しい副産物

 

こうした訓練をおこなうと、読書のスピードがアップするだけでなく、情報処理のスピードが上がって、効率的に仕事ができるようになります。また、イメージでインプットできるので、記憶力も上がってくるんですよ。

 

右脳が活性化していくと、自分を縛っていた固定概念から解放されて、ワクワクする気持ち、空がきれいだなとか、感性が豊かになり、人間らしくなっていきます。

 

──それは素晴らしい副産物ですね。

 

自分が何を感じているかが分かるようになり、相手のことも理解できるようになるので、コミュニケーション力も高まります。

うつになって休職中に社会復帰の一環としてやって来られて、元気になって、そのままインストラクターになってしまった人もいましたね。

 

脳の活性化につながるので、心身が若返り、認知症の予防、それこそお肌の状態も良くなったりします。

 

スクールの料金の目安。それ以外の方法は?

 

──いいことづくめの速読ですが、気になるのは習得に要する時間と料金です。

 

速読スクールによって習得できるまでのレッスンの回数や料金はそれぞれ違いますが、スクールで速読を身につけようとすると、10万円から20万円するようです。ちなみに楽読では、24回で約13万円です。体験レッスンを行っているところもあるので、興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか?

 

──スクールには行けないけれど、興味のある方がやれることはないですか?

 

時間もお金もないという方には、自宅で体験できるDVD付き書籍

世界一楽しい速読──全脳開発トレーニング楽読講座』(1200円+税)

がお勧めです。

 

──本が苦手という人に対してアドバイスをお願いします。

 

本が苦手というのは一種の固定概念ですよね。左脳のなせる技です。速読をやると苦手意識は一気に吹き飛びます。

まずは、絵本でも童話でも、読んでみたいと思える本から始めてみると、本は難しいという固定観念がはずれ、読書が楽しくなってきます。

 

私はいちばん苦しかったとき、ふらりと立ち寄った本屋さんで出会った本に救われたという体験があります。本は人生を支え、世界を広げ、人生を豊かにしてくれます。

ぜひ、人生の友としてくださいね。

 

──ありがとうございました。

 

【取材を終えて】

本づくりの現場に30年携わってきた私ですが、速読には読書とは違ったイメージがあり、触れる機会もありませんでした。

今回、小松埼さんのお話を伺い、また多少調べてみて、それが払拭されました。

赤ちゃんが言語を習得していくのは、右脳によって膨大な情報処理がおこなわれているからだと言われますが、速読はそれと近い原理によっておこなわれているんですね。もともと私たちが持っていて、しかもかつて使っていた機能を読書に応用する。そう思うと、使わないともったいない気がしますね。(良本和惠)

 

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。