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blog | 2016.12.05
子育ての悩み〜正しいしつけの仕方と目的は?
毎日のように子供を虐待する親のニュースが流れています。親の言い分は、まるで決まり文句のごとく「しつけのつもりだった」。
こういったニュースばかり見ていると、「しつけ」が恐ろしいもの、よくないもののような印象になってしまう人もいるかもしれません。
しつけって本当に必要なの?
しつけはどうやるのが正しいの? どうなると虐待になるの?
と、不安になりますよね。
そこで、
- しつけの目的は何なのか?
- 正しいしつけの仕方とはどういったものなのか?
について、家庭教育師で学校心理士や上級教育カウンセラーでもある大森弘先生にお聞きしました。
しつけの目的は「自分をコントロールする力」と「思いやり」を育てること
広辞苑によると、しつけとは「礼儀作法を身につけさせること」だそうです。礼儀作法…と聞くと堅苦しく感じるかもしれませんが、「基本的な生活習慣と、社会的な生活習慣を身につけさせること」と言い換えればいいかと思います。
- 言葉づかいなど(優美性)
- 箸の持ち方など(効率性)
- 交通ルールを守るなど(安全性)
- 道路にゴミを捨てないなど(公益性)
などを教え、子供に「やりたくてもやってはいけないこと、やりたくなくてもやらなければいけないこと」をわからせ、実行させるのが狙いです。
これは「自分をコントロールする力」と、他の人への「思いやり」を育てることにつながります。
だから、しつけは人間として社会生活を送るうえでとても大切なことなのです。
しつけと虐待はまったく違う
しつけをするときは、厳しさのある(父性的な)かかわり方が必要です。
母性的・父性的というのは女性・男性を指すのではなく、お母さんにも父性(厳しさ)はありますし、お父さんにも母性(優しさ)はあります。
では、父性的なかかわりと虐待との違いはどこにあるのでしょう。
もっとも違うのは、「子供への愛」がベースとしてあるかどうかということです。「愛」がないまま父性が暴走している状態が、虐待や暴力をもたらします。だから、「しつけがついエスカレートして虐待になってしまった」というようなことはありません。虐待をするということはベースに「愛」がないのです。それはそもそもしつけではありません。
「しつけと虐待は一直線上にあるものではない」と覚えておきましょう。
正しいしつけの仕方とは
子供への愛を持って、父性的なかかわりを意識してしつけをしますが、母性的な優しいかかわりもゼロではありません。
例えば、おもちゃの片付けをさせる際にも、「片付けなさい」と強制的な態度で始めずに、まずは親が一緒に片付けてやります。「よくできたね」とほめながら、少しずつ手を引いていきます。ゲームのように、達成感を与えるのがコツです。
もし子供がどうしても片付けなかったときは、「捨てちゃうよ」や「片付けが終わらないとご飯食べさせないよ」ではなく、「もういいよ、お母さんが毎回片付ければいんでしょ!」でもなく、「いまはお母さんがしまっておくね」と言って片付けてやります。
あくまでも片付けるのはあなたの役割だけれど、今回だけはやってあげると伝えるのです。やらないことを許してしまわない厳しさと、あせらずに子供の成長を見守る優しさが必要です。
しつけにはタイムリミットがある
脳科学では「自分をコントロールする力」と「思いやり」は2〜3歳頃に芽生えることが明らかになっています。「まだ小さいから」と甘やかさずに、必要な生活習慣はきちんとしつけをしましょう。
幼児期は基本的生活習慣を中心としたしつけを、児童期に入ると社会的生活習慣も含めてしつけをしていきますが、1歳〜10歳頃までに身につけないと、その後はなかなか獲得するのが難しいと言われています。
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- この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
- 書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。