booksグッドブックスの本
写真集
鉄に生きる ~サスティナブルメタル 電気炉製鋼の世界~
山崎エリナ 撮影
我が国で産出される鉄スクラップ、年間2500万トン。リサイクル率95%。
永遠の循環を担う電気炉製鋼の現場に、写真家・山崎エリナが密着。
世界一を誇る製鋼技術によって、鉄スクラップがいのちを吹き返していく、ダイナミックで美しい炎と技の現場を閉じ込めた写真集。
撮影協力 北越メタル株式会社 本社工場(新潟県長岡市)、
喜多方工場(福島県喜多方市)
執筆協力 棚橋 章(北越メタル株式会社代表取締役社長)
サスティナブルで美しい製鋼工程
製鉄といえば、高い煙突、巨大なタンク、壮大な溶鉱炉をイメージしがちですが、それは海外から鉄鉱石を輸入して巨大なプラントで製鉄を行う高炉製鋼のほうです。
電気炉製鋼は、地域で出たスクラップを原料に鉄製品をつくり、地域に還元するもので、輸送にともなう二酸化炭素の排出量も抑えられ、持続可能な開発目標という時代の要請に応えた「永遠の循環を担う」製鋼法といえます。
アーク放電によって鉄は一気に溶ける
鉄スクラップが再生していくロマン
写真集を開くと、初めに出てくるのが鉄スクラップの山。
鉄スクラップといえばスチール缶やコンクリートの中の鉄筋というイメージがありますが、中には消火器やガードレールも。じつは日本で出る鉄スクラップの量は、輸出するほどと言われます。鉄鉱石の出ない日本では貴重な資源です。
電気炉製鋼での鉄の原料は、すべてスクラップ。スクラップが一級品に再生するのか疑問に思われる方もいるでしょうが、日本の鉄鋼技術は世界一。いかに少ない電気で鉄を溶かせたか(効率的な溶解技術)、不純物の濃度をいかに短時間で一定以下に下げるか(精錬技術)、さらにアークを効率よく飛ばす技術など、海外から高く評価されています。
錬る、延ばす──経験値がもの言う技術
スクラップから鉄をきれいに取り出したあとは、連続鋳造のサイクルの中で成分の確認、調整といった作業が次々と。経験と勧がものを言います。
機械では補えない人の技
変形した鉄製品は、微妙な職人技が品質や耐力に影響するといいます。一つ一つ人の手によって品質の高い鉄製品が生まれていきます。
鉄を焼き付けていく手の動きや動作に無駄がなく、リズミカルで心地よい
場の空気感や、情感を描いてきた山崎エリナが迫る
製鉄所を描いた写真集は、これまでに工場夜景のような形で出版されていますが、この写真集は、電気炉製鋼の内部に入って製鋼工程を芸術的に描くという、これまでにないものです。
場の空気感や、人の持つ情感を描いてきた山崎エリナならではの写真集と言えます。
鉄に生きる人々の技術や誇りをも感じられるような作りとなっています。
【5つの工程で構成】
集める(原料のスクラップの山)
溶かす(アーク放電が生み出す1600度の炎の世界)
錬る(経験値がものを言う製錬工程)
延ばす(鉄に粘りと強さを出す圧延工程)
技(機械では補えない人の技)
巻末には写真解説のページを設けています。
鉄に生きる サスティナブルメタル電気炉製鋼の世界
B5版 オールカラー112ページ
定価2420円(2200円+税)
ISBN978-4-907461-29-4 C0072
著者プロフィール
山崎エリナ(やまさき・えりな)
写真家 兵庫県神戸市出身。1995年渡仏、パリを拠点に3年間の写真活動に専念する。40ヵ国以上を旅して撮影を続け、エッセイを執筆。帰国後、国内外で写真展を多数開催。海外での評価も高く、ポーランドの美術館にて作品収蔵。第72回アカデミー賞にて名誉賞を受賞した映画監督アンジェイ・ワイダ氏からもその作品を高く評価された。ダイオウイカで話題になった自然番組・NHKスペシャル「世界初撮影!深海の超巨大イカ」(菊池寛賞)では、スチールカメラマンとして同行し深海撮影。
2018、19年には「インフラメンテナンス写真展」を福島、仙台、東京ビッグサイトにて開催。橋梁、トンネル、道路のメンテナンス現場を撮影した写真集『インフラメンテナンス~日本列島365日、道路はこうして守られている』は、インフラメンテナンス大賞優秀賞を受賞。
写真集に、『アイスランドブルー』(学研)、『サウダージ』(初版 ピエブックス)、『千の風 神戸から』(学研)、『ただいま おかえり』(小学館)、『アンブラッセ~恋人たちのパリ~』(ポプラ社)、『三峯神社』『インフラメンテナンス~日本列島365日、道路はこうして守られている』、『Civil Engineers 土木の肖像』『トンネル誕生』(以上、グッドブックス)がある。
メディア情報
産業新聞(2021年7月9日付)
鉄鋼新聞(2021年7月9日付)
新潟日報(2021年7月6日付)
神戸新聞(2021年5月17日付)
福島民報(2021年5月16日付)
東京新聞(2021年5月15日付、書評欄)中日新聞(2021年5月16日付、書評欄)
建設通信新聞(2021年4月26日付)
建通新聞(2021年4月21日付)
ニュースイッチ(日刊工業新聞のWebマガジン、2021年4月20日付)
日刊建設工業新聞(2021年4月19日付)
AERA.dot(2021年4月14日付)
産業新聞(2021年4月1日付)
鉄鋼新聞(2021年3月30日付)