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社会
時代を動かした天皇の言葉
茂木貞純・佐藤健二 著
「天皇の人間宣言」を強要したGHQの意図を昭和天皇自らくつがえし、新しい日本を共に建設をしていこうと国民に呼びかけられた「年頭、国運振興の詔書」
平和を願いながらも大東亜戦争を開戦せざるを得なかった内外の事情を詳しく述べた「宣戦の詔書」
日清、日露の戦勝気分に浮かれる国民に向けて日本人としてのあるべき姿勢を示された「戊申詔書」
西洋近代化によって日本の美風がすたれていくのを心配して語りかけた「教育に関する勅語」
黒船来航という未曾有の国難を若き孝明天皇がどう考え、行動したのか、幕末十年の動向を御自らがつぶさに語った「時局を御軫念御述懐の勅諭」
本書は、歴代の天皇が時代の局面に発せられた20の「みことのり」を通して、現代から江戸中期までの250年の歴史をたどった画期的な書です。
戦後覆い隠されてしまった日本の真の歴史が、ここによみがえります!
八重洲ブックセンターで週間総合1位になりました。
声に出して味わいたい格調高いみことのり
126代の天皇をいただくわが国には、膨大な数のみことのりが残されています。その数は数えられるものだけでも4、5000詔あるといわれています。
しかし、その多くが漢文や宣命体といった難しい言葉であるため、その全文が一般書という形で普及することはなかなかありませんでした。
そこで本書は、森清人先生が読み下し文にされた『みことのり』(錦正社)をテキストとして、漢字はそのままに、カタカナをひらがなに、振り仮名を現代仮名遣いにするなどして、みことのりの格調高い響きを残しつつ、声に出して味わえる工夫を施しました。
さらに、著者によって、難しい語句には語釈をほどこされ、みことのりが出された背景や現代語訳、解説を執筆いただいたことで、じゅうぶんに味わえるものとなっています。
興味を引く導入の言葉
みことのり全文をいきなり読むにはそれなりの教養がいります。
そこで、一般の方々にも親しんでいただくように、
みことのりの中の重要なフレーズを冒頭ページにかかげ、左下には全体の趣意をまとめて入れました。
例えば、五箇条の御誓文では、
天地神明に誓ひ、大(おおい)に斯(この)国是を定め、萬民保全の道を立てんとす。
の一文を冒頭にかかげています。
じつは、この部分は学校の教科書では削除されており、明治天皇が天地神明に誓われるかたちで出されたものであることをほとんどの人々は知りません。
このように、本書には、私たちの頭の中にある日本史の常識がくつがえされる部分が多々あります。
長年にわたる研究の成果が一冊に
著者のお一人、茂木貞純先生は、國學院大學神道文化学部の教授として、また祭祀儀礼の専門家として全国の神職の指導に当たられています。
もうお一人の佐藤健二先生は、名門私立学校で教鞭を執られたのち、現在は、素行会(山鹿素行研究)の代表や東京都教師会会長、新教育者連盟講師として活躍されています。
その一方で、みことのり研究会の会長と副会長として、毎月みことのり研究会で研究発表をされています。
この、みことのり研究会は、今上天皇と雅子妃のご成婚記念『みことのり』の出版を機に結成され、毎月1詔ずつ研究していきながら、みことのりの精神を学んでいます。
本書は、その成果のひとつであり、両先生には、あらためて時代背景や解説をご執筆いただきました。
錦正社刊『みことのり』全1350ページ、森清人先生が2150詔を謹撰、読み下しにされた大著
いつの時代も、危機の打開の中心に天皇がいらした
本書で取り上げた250年間には、幕末明治維新と大東亜戦争の敗北という未曾有の危機がありました。わが国がこの国家存亡の危機をどう乗り越えることができたのか。本書を通読されれば、いつの時代にも危機の打開の中心に天皇がいらしたことが見えてきます。──本書より
幕末の混乱、対外危機、大災害、教育の刷新……
本書を読まれれば、国の行く末を左右する局面で、常に天皇は国民の進むべき方向を示されたことが分かります。
時代時代の天皇の意思が凝縮して示された第一級史料ともいえる「みことのり」
分かりやすく丁寧な解説とともに、ぜひ味わってみてください。
茂木貞純・佐藤健二 著
時代を動かした天皇の言葉
296ページ 本体1800円+税
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令和によみがえる珠玉の20詔。
象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば/東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のおことば
昭和天皇
食糧難克服に関する御言葉/年頭、国運振興の詔書/大東亜戦争終結の詔書/米国及び英国に対する宣戦の詔書/御践祚後朝見の儀に於て下され勅語
大正天皇
(摂政御名)国民精神作興に関する詔書
明治天皇
戊申詔書/教育に関する勅語/大日本帝国憲法発布の上諭/国会開設の勅諭/廃藩置県の詔/五箇條の御誓文/国威宣布の宸翰
孝明天皇
時局を御軫念御述懐の勅書
仁孝天皇
征夷大将軍徳川家斉を太政大臣に任じ給ふの詔
光格天皇
賀茂・石清水両社臨時祭の御再興に関する宸翰御趣意書
後桜町天皇
譲位の宣命
桃園天皇
垂加流神道に関して近衛内前に質し給へる御沙汰書
三大神勅(宝祚天壌無窮の神勅/宝鏡同床共殿の神勅/斎庭の穂の神勅)も収録
著者プロフィール
茂木貞純(もてぎ・さだすみ)
國學院大學神道文化学部教授
昭和26年(1951)埼玉県生まれ。昭和55年國學院大學大学院博士課程神道学専攻修了。神社本庁教学研究室長、総務部長等を経て、國學院大學神道文化学部教授、古宮神社宮司。著書に『神道の祭りの伝統』『日本の暮しと神社』(神社新報社)、『日本語と神道』(講談社)等。編著書に『新神社祭式行事作法教本』『神道祭祀の伝統と祭式』(戎光祥出版)がある。
佐藤健二(さとう・けんじ)
駒場東邦中学高等学校元教頭
昭和24年(1949)東京都生まれ。國學院大學文学部で国文学を専攻の後、同大学院で神道学を専攻、昭和52年博士課程修了。駒場東邦中学高等学校国語科教諭、平成23年教頭で退職。素行會(山鹿素行研究会)代表、東京都教師会会長、新教育者連盟講師等。著書に『民族と文化の発見』(共著・大明堂)『家庭教育の再生』(共著・学事出版)、『日本人を育てた物語』(編著・錦正社)等。