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blog | 2017.03.10
がんを抱えながら上手に働く方法 ~がん治療コーディネーター藤岡典代さんに聞く(7)
2人に1人ががんになる時代、まだまだ働き盛りの年齢でがんになる方もいます。
中には治療を受けながら、会社に言わずに働いているがん初期の方も多いようです。
がんを抱えながら働くときに心がけたいことを、がん治療コーディネーターで、自らがんで療養中の藤岡典代さんにアドバイスをいただきました。
多くの方ががんを抱えながら働いている
──がんを抱えながら働いていらっしゃる方は多いと聞きました。
けっこういらっしゃいますよ。
学校の先生や公務員などは半年とか1年単位で休め、3年ぐらいまで更新できますから、休業手当をもらいながら療養ができるけれど、小さな会社に勤める人、ましてやパートさんなどはそうないかないので、非常に厳しいですよね。
自分ががんであることを隠して働いている方も結構いらっしゃいます。
──会社に話すと辞めさせられるのではという心配があるのでしょうか。
ええ、特に働き盛りの年齢でがんになった方は、職を失いたくないという心理が働くと思います。
というのも、がんになると、とにかくお金がかかるんです。
もちろん各自で加入されている生命保険や高額医療制度で医療費は最低限まかなえるものの、 たとえば、代替医療のようなものに取り組みたいと思ったらほとんどが自費です。
できるだけ体に良い食事をしようと思って無農薬のお野菜やお米を買おうとしたらふだん食べていたものの2割、3割くらいは高くなる。
それが長期戦ということになると、仕事は手放せないし、辞めさせられるリスクを感じたら、なかなか言い出せないということになるのだと思いますね。
藤岡典代さん
職場の人々にがんであることを告白すべきか
──会社の上司や同僚に黙っているのは、本人はつらいでしょうし、周りも知っていたら助けようがあるのではないでしょうか?
がんを治療していく過程では、いかにサポーターをつくるかが大事だということを以前お話ししました。
同じ部署の方とか、チームで仕事をしている場合にはその全員が病気のことを知っているようにしたほうが自分も働きやすいですし、周りにとってもいいと思います。
でも、これも人それぞれで、自分が上司の立場という場合もあるでしょうし、自分一人で仕事が完結する人もいらっしゃるでしょう。
その人の置かれた立場で違ってきますので、一概にこうすべきとは言えないのですが、やはり職場にもサポーターはいたほうがいいと思うし、一人でもこの人は信頼できるという人に打ち明けることをお勧めします。
外来で抗がん剤治療を受けると、その翌日には体がだるくなったりするものです。そうしたときに、一人でも理解してくれる人が職場にいると心強いものです。
家族との関係
──がんを抱えながら働く場合、家族との関係で気をつけたいことがありますか?
家族は第二の患者と言われるくらいですから、家族の精神的負担は、はかり知れないものがあります。
まして、働き盛りでがん治療を余儀なくされたら、家族は、患者さんの身体の心配だけでなく、経済的な不安も出てきます。
ですから、患者さん自身も自分が収入源になっている場合、仕事を休めず治療のために無理をしてしまうという本末転倒になるケースもあります。
また、同じように家族が無理をされて病気になるということもありますから、家族でしっかりと態勢を作ることは必須です。
まず、職場の休業制度や行政等の支援システムがどうなっているか調べてみましょう。がんの拠点病院などでは、相談窓口を開設しているところもありますので、そちらを訪ねてみることも有効です。
家族は最大のサポーター
家族は、患者さんにとって最大のサポーターです。良きサポーターとは、患者さんのやり方で癒えていくことを支援することです。
時に、サポーター自身の好みのやり方を押し付けてしまいがちですが、それは間違ったやり方です。
たとえば、患者さんは、仕事と治療を両立したいと考えているのに、家族は休職してしっかり療養してほしいと願います。
仕事は生きがいのひとつ、何らかの形で関わるほうが、経過が良いこともあります。
家族は心配で仕方がないでしょうが、患者さんの治癒力を信頼し、仕事を続けたいという気持ちを尊重しサポートすることが大事です。
そしてもうひとつ大切なこと。
家族自身も自分を満たす時間を作ることです。
患者さんのケアに一生懸命になりすぎて自分を見失っては、良い関わりはできません。
友人と食事をするとか、趣味の時間を楽しむなど、リフレッシュの時間を持つことは、患者さんにも良い影響を与えるはずです。
──ありがとうございました。
藤岡典代(ふじおか・ふみよ)
薬剤師・心理カウンセラー。夫が院長を務める藤岡医院でがん治療コーディネーターとして、患者を心理面から支えてきた。医療の範疇を超えた事業活動をめざして、株式会社テトテトテを設立。料理家の本道佳子さんと共にがん患者と家族のために、病気との決別をおこなう「最期の晩餐・食事会」はメディアを通して注目を浴びる。医院の隣にカフェとお菓子の工房「しましまの木」をオープン、がん患者のみならず、地域の憩いの場として人気が高い。
☆ ☆ ☆
藤岡靖也+藤岡典代著『最期の晩餐~がん治癒へのターニングポイント』
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【関連書籍】
鬼塚晶子著『乳がんと里芋湿布』の詳細は、こちらから>>>
- この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
- 書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。