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news | 2020.11.28

写真集出版イベント、感謝のご報告

11月26日、写真集『Civil Engineers土木の肖像』(山崎エリナ撮影)の出版記念イベントが、ジュンク堂書店新潟店にて開催されました。

発刊から5ヶ月経って、ようやく叶ったイベント。新型コロナウィルスの影響で入場制限での会ではありましたが、写真家、現場提供者、被写体、制作側、そして一般の方々が集い、写真集の誕生を祝うイベントとして最高の場となりました。

ジュンク会場上から

 

撮影現場となった地域で、ちょうど良い規模で

 

ここで開催に至った経緯を少々。

新潟はこの写真集の被写体として、現場をご提供くださった建設会社小野組さんの本拠地です。
創業130年の老舗企業で、家族よりも地域を大切にしてきたというエピソードもあるくらいです。

出版イベントは現場の新潟でおこないたいね!となり、ジュンク堂書店新潟店さんにご相談。ここ数ヶ月イベントをすべて中止されていた中、とても勇気の要ることだったと思いますが、人数制限を条件に承諾してくださいました。

小野組の皆さん、なかでも中川さんには、観光協会などにポスターを貼ってもらったり、地元ラジオで参加を呼びかけていただいたり、イベント当日の細やかな準備まで…ご尽力頂きました。

そうして蓋を開けてみたら25名、ソーシャルディスタンスが保たれた、まさにピッタリの人数でした。(小野組の社員さんたちはZOOM生配信で観てくださいました)

司会の中川さん

↑中川さん(地域の振興のための活動もされていて、4人の子持ちのお母さんでもあるんです)

 

働く人に迫った画期的な写真集ができたそのわけは?


トークショーは、山崎エリナさんが『Civil Engineers土木の肖像』収録の現場の人々を思って作詞作曲した歌の映像から。

そして、「この写真集には『人』に焦点を当てたかったのです」と、作品に込めた思いを披露。
山崎さんの語りは、いつ聞いても、現場で働く方々への尊敬の念に満ちています。彼女の作品には温度があると言われるのも、思わず涙腺がゆるんでしまうと言われるのも、被写体の奥にあるものを写し取っているからだと思います。

ジュンクで語るエリナさん

↑山崎エリナさん(世界でも評価されてきた写真家さんです)

今回のイベントでは、制作側の話もということで、私(良本)もマイクを持ちました。

マイクを握る直前に、あれもこれも話したいという思いが一気に押し寄せましたが、一編集者が見た写真家・山崎エリナのすごいところなどを話させていただきました。

これまでの土木建設写真集には人が存在せず、あるのは構造物の美と風景との調和、重機の迫力だったりします。そこに人の温度や息づかい、誇りまでも閉じ込めたのは画期的な出来事で、山崎さんの感性のなせるわざ、なんですね。

良本

↑良本(写真集の制作実務を担当しました)

続いて、この方なくば写真集は世に出なかったという存在の小野社長。

撮影現場を提供いただいたのはもちろんのこと、山崎さんが魅了された建設人の熱量や誇り、屈託のない笑顔といった「人」を育て支えてきた存在があったればこそ。とっても博識で、実行力のある社長さんです。

トークセッションでは、山崎さんに現場を撮って欲しいと思ったいきさつや出会いについて、ユーモアを交えながら語ってくださいました。

小野社長

↑小野社長(人材育成・確保のためにアカデミーを設立するなど、果敢に挑戦しておいでの素晴らしい社長さんです)

作品の被写体となったシビルエンジニアーズが登場!

 

次に、被写体の方々の登場! カメラを向けられてどんな気持ちだったか、写真集となって、家族や周囲の反応は?などを楽しく語ってくださいました。写真集をめくるとき、恥ずかしくて自分も家族もスルーしていたという裏話なども。

もっとも、山崎さんは相手の作業を邪魔することなく、自然な動きや姿を撮っていくスタイルなので、いつのまにか撮られていたことのほうが多いようです。もちろん、現場での緊張がふっと和らいだ表情も逃しません。『Civil Engineers土木の肖像』は、現場に立ち向かう表情との対比が面白いです。

被写体3人

↑出演してくださった皆さま。ありがとうございます!

ジュンク女性監督

笑顔の素敵な女性は、写真集ではこんな感じです。お若いながら建築現場の監督さんです。

このあと、参加者からの質問、サイン会と時間が流れ、最後は、山崎さんの作品が掲載された小野組カレンダーが参加者全員にプレゼントされ、アットホームな雰囲気の中で無事終了。あっという間の1時間でした。

私たちの生活を陰で支えてくれている存在

 

いま、橋梁、トンネル、道路といった、私たちの生活に欠かせない多くのインフラが老朽の時期を迎え、危険水域に入りつつあります。
その一方で、人材や予算の確保が非常に難しくなっているという現実があります。

そうした現実も知って欲しいとの願いの延長線上に、写真集『インフラメンテナンス』と『Civil Engineers土木の肖像』があります。これらが、大手建設会社ではなく、地域住民と共に生きてきた建設会社の現場から生まれたということに、深い意味を感じます。


私たちが当たり前のように通る橋も道路も、こういう方々の日々のメンテナンスや技術のおかげです。一人一人が自分の問題として知っていただくためにも、多くの方に写真集をご覧いただけたらありがたいです。

掲載の写真は小野組さまにご提供頂きました。最後に、イベントに関わってくださったすべての皆さまに心から感謝いたします。
(グッドブックス 良本和惠)

山崎エリナ撮影『Civil Engineers土木の肖像』詳しい内容は、こちらから>>>

山崎エリナ撮影『インフラメンテナンス』詳しい内容は、こちらから>>>

 

 

この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。