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blog | 2017.05.26

がんの悩みQ&A◎サイモントン療法について教えてください。

がん末期と診断されました。 藤岡先生のご著書『最期の晩餐』を読み、藤岡医院の患者さんが、最期まで自分らしく生きておられる様子にとても感動しました。

ただ、私は埼玉に住んでいて、とても藤岡医院に通うことはできません。
藤岡医院では、サイモントン療法という心理療法が患者の心のケアにとても効果的のようですが、 実際にどのようなことをするのか、また、関東在住の自分のような者が受けるにはどうすればいいのか、教えてください。

 

回答者 藤岡典代(ふじおか・ふみよ)先生

がんのセカンドオピニオンとして人気の高い藤岡医院で、薬剤師・心理カウンセラーとして患者を心理面から支えてきた。昨年、自身に肺がんが見つかり、患者の心理をより深く理解できるようになり、その実感を元に回答いただいています。

 

心という視点からがんの患者さんと向き合う

著書をお読みいただき、ありがとうございます。

本を書いた頃は、主人が内科医として患者さんの体の面を医学的側面から、私が患者さんの不安や疑問に寄り添う形で心理面をサポートしていたのですが、いま藤岡医院には、2人の心理カウンセラーがいます。

その一人というのは、消化器の専門医で、サイモントン療法に関心を寄せられ、資格を取られた中原医師です。

サイモントン療法とは、アメリカの心理社会腫瘍学の権威カール・サイモントン博士が開発したがん患者さんとそれを支える人々のための癒しのプログラムで、
がん患者さんが抱くストレスを効果的に解消する「イメージ療法」や「ビリーフワーク」等、様々な実践的アプローチでがんを治癒へと導いていく心理療法です。

 

良いイメージを持つ(イメージ療法)

 

肺がんの患者さんに、「あなたの体の中のがんの絵を描いてください」と言うと、自分の肺いっぱいにがんが巣くっているような絵を描かれます。

しかし実際には、肺の中にほんの数ミリ程度のがん細胞があるという場合が多いのです。

肺全体ががんに冒され、自分の体をむしばんでいるようなイメージを持ってしまうと、それがストレスとなり、体にも影響を及ぼしてしまいます。

 

がんは体のほんの一部、そのまわりの健康な部分に目を向け、それをいきいきと輝かせることが大切です。

たとえば、口に入れた食べ物がちゃんと消化して、自分の血や肉となってくれている。一呼吸が、新鮮な酸素を血液中に取り込み、いらなくなったものを排出する。

そうした健康的な営みのひとつひとつを意識し信頼することが、自然治癒力を高めることに繋がるのです。

 

サイモントン療法では、描画療法やメディテーションを行うことによって、自分の中に良いイメージを作り、治癒へと導いていきます。

 

苦しみの感情を作り出す不安や不満、怒りの正体を知る(認知行動療法)

 

また、病気になると、自分の中の負の感情があふれてくる場合がよくあります。

これも、体にとって良くないものです。そこで負の感情をつくりだす考え方やもののとらえ方を健康的な考え方に変えていきましょうというのが認知行動療法です。

サイモントン療法ではビリーフワークと呼んでいます。

たとえば、「私は、どんな治療も効かず、病状が悪化し2年以内には死んでしまうに違いない」という不安を

「2年以内に死ぬとは限らない。自分の力で大きな変化を生み出し、健康を取り戻すことは可能である。」と書き換えます。

この新しい信念をにわかに信じることはとてもエネルギーを要しますが、非常に効果の高いワークです。

焦らずゆっくりと進むことが大切になります。

このワークは、カウンセラーと共に取り組む方が効果的ですので、ご興味のある方はサイモントン療法協会のホームページをご覧ください。

※サイモントン療法協会
http://simontonjapan.com/

私たちはもともと健康な存在であることを確認する

 

サイモントン療法のワークは、私たちはもともと健康な存在であり、幸せを体験するためにこの世に生まれてきているといった哲学的信念にもとづいて行われます。

つまり、がんは私たちに攻撃を仕掛けてくるようなものではなく、大切な何かを気づかせてくれるメッセンジャーととらえるのです。

多くのがん患者さんが、がんになったことで恩恵を得たと言われます。

・NOと言えるようになった。

・家族、友人の優しさをあらためて感じた。

・当たり前のことが当たり前でなく、感謝に変わった。

など、数限りない気づきがあらたな生きるエネルギーとなります。

このように、治癒へのプロセスは、本来の自分に戻ること。ほんとうの自分の欲求に気づきあるがままに生きる道へシフトすることなのです。

 

サイモントン療法の形式

 

具体的にどういう形でサイモントン療法をおこなうかといいますと、

患者さんと一対一での個人カウンセリングでやる場合、セミナーでやる場合があり、

セミナーも、一週間掛けておこなう正式のものから、トレーナーが各地に赴いておこなう2デイズセミナーといった短いバージョンのものもあります。

東京には本部がありますので、どこで、いつ、どんな形で受けられるか、問い合わせてみれば分かりますが、その前に川畑のぶこさんの著書『サイモントン療法』(同文舘出版)を読まれることをお勧めします。

これはサイモントン療法の教科書的な本で、どんな考えにもとづいてやられているか詳しく書かれていますし、巻末に、提携医療機関が載っています。

 

☆  ☆  ☆

藤岡靖也+藤岡典代著『最期の晩餐~がん治癒へのターニングポイント』

詳細は、こちらから>>>

【関連書籍】

鬼塚晶子著『乳がんと里芋湿布』の詳細は、こちらから>>>

 


この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。