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blog | 2017.03.02

がんの経験者と交流する場 ~がん治療コーディネーター藤岡典代さんに聞く(11)

前回は、がんを告知されて感じた恐怖について、藤岡典代さんに自身の体験をうかがいました。

今回はそれらの体験を共有できる場として、どんなところがあるのかについてお話しいただきました。

 

がんサロンという場

 

──がんになった苦しみを誰かと共有したいと思っても、同じ経験をしたころのない家族や職場の人や友人と共有するのは難しいものでしょうか?

 

同じ体験をした人でないと分からない世界がありますから、それはある意味、仕方がないことです。

逆に、同じ経験をした方が集まる場に「がんサロン」があります。

家族でも、職場の人でも気持ちを共有するのは難しいかもしれませんが、がんサロンには、自分と同じ病気の人もいるし、経験者もいれば、それを克服した人もいます。

そういう人たちの話を聞いてみたり、同じ体験をした人たちで語り合うことはとても有効で、心も癒やされます。

これは震災でも同じですね。震災に遭った人たちで、つらさを共有して、そこからどう成長できたかを話し合う取り組みもありますが、とてもいいことです。

 

──がんサロンにはどのようにすれば行けますか?

 

がんの拠点病院には、がんサロンがあると思います。一度訪ねてみられることをお勧めします。

藤岡典代さん

 

──西洋医学ではない治療をやっている方などの集まりもあるのでしょうか?

 

あると思います。民間で運営されているところもありますので、そういうところに行けばいろいろな立場の人に出会えます。

民間療法だけで病気を克服しようと思っている人もいれば、完全に西洋医学だけでと考えている人もいて、いろんな立場の人に出会えます。

東京には「マキーズ東京」といって、イギリス発祥の、がん患者や家族・友人のための空間(場)があり、そこでは看護師や心理士が常駐していて、専門的支援が受けられるようになっています。

そういう場は、がんの患者には必要で、今後はあちこちにできていくのではないかと思いますし、私も、いずれ熊本につくりたいと思っているんですよ。

 

がん患者の集まりに行くときに気をつけたいこと

 

ただし、そのような場に行くときに気をつけなければならないことがあります。

以前のインタビューで話したかもしれませんが、サロンの場が、主催者の考えに偏ることがあるんです。

たとえば、あの医者はダメだとか、玄米菜食でないとダメとか、肉や魚はぜったいダメよとか、一つの療法の信奉者が集まるサロンになってしまうと、つらくなり、ストレスを抱え込むことになりかねません。

そういう場だと感じたり、自分に合わないと思ったときには、ずるずると行き続けるのではなく、きちんとお断りしたほうがご自分のためです。そしてまた、自分に合うサロンを探していかれるのがいいと思います。

 

──ありがとうございました。(聞き手・良本和惠)

 

藤岡典代(ふじおか・ふみよ)

薬剤師・心理カウンセラー。夫が院長を務める藤岡医院でがん治療コーディネーターとして、患者を心理面から支えてきた。医療の範疇を超えた事業活動をめざして、株式会社テトテトテを設立。料理家の本道佳子さんと共にがん患者と家族のために、病気との決別をおこなう「最期の晩餐・食事会」はメディアを通して注目を浴びる。

☆  ☆  ☆

藤岡靖也+藤岡典代著『最期の晩餐~がん治癒へのターニングポイント』

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。