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blog | 2017.03.02

がんになったら、肉や甘い物は食べてはいけない? ~がん治療コーディネーター藤岡典代さんに聞く(5)


がんになると、皆さん心配されるのが食事の問題です。

ネットや本、雑誌には、肉や甘い物はがん細胞を増殖させるので避けたほうがいいといった情報がたくさん出回っており、情報に敏感な方ほど、悩んでおられるようです。

これから2回にわたって、がんと食との関係を、がん治療コーディネーターで、自らがんの療養生活を送っておられる藤岡典代さんにうかがいます。

 

玄米菜食OKで、肉や甘い物はNG?

 

──がん患者になると、玄米菜食にしなければならないとか、肉を食べたら進行を早めるとか、甘い物は食べてはダメだとか、そういうイメージがあるのですが、実際にそうしなければ本当にがんは進行してしまうものなのでしょうか?

 

実際、多くのがんの患者さんが今の3つを心配されますね。

一言で答えるとすると、じつは人それぞれなんです。

私は食の専門家ではないのでその3つの科学的な根拠は分かりません。ただ、がんの患者さんの多くが、がんになると玄米に切り替えなきゃと思い込んでいるのを目の当たりにすると、ちょっと待って、と思います。玄米がその人に良いとは限らないからです。

 

特に胃腸の弱い方が炊きたての玄米を食べると、ますますおなかが緩くなったり、栄養吸収が悪くなりがちです。3日以上発酵させた発酵玄米なら消化吸収も良くなりますので、食べるならそちらをお勧めしますが、だからといって白米がダメだとは言い切れない。

無理に食生活を変える必要はないと思うのです。


藤岡典代さん

 

──お肉についてはどうですか?

 

お肉についても、食べたからといって、がんの進行が早くなるとは言えないと思うんです。

タンパク質は人間に必要な栄養素です。

がんになると、なるべくたくさんのお野菜からビタミンミネラルをたっぷり摂って、タンパク質は植物性にと言われますよね。タンパク質を摂る際にはビタミンミネラルは特に大切です。

でも、時に動物性タンパク質も有効なことがあると思うのです。つまり、全くダメとは言い切れない。要は、質の問題なのです。

 

良質のものを少量摂る

 

──質ですか?

 

例えば、お肉の中でも低脂肪の鶏肉を摂る。牛肉や豚肉でも、脂身の少ない赤身の部分を摂るという具合に、質の良い物を少し摂るのです。

だって、お肉を食べたくなるときもありますよね。ふだんあまりお肉を食べない私ですら、焼き肉が食べたいなあと思うときがあります。そういうときって、体が欲していると思うのです。

だからといってたくさん食べるのではなくて、ほんの少しをゆっくり味わっていただくのです。

お医者さんは「バランス良く食べなさい」と言いますが、バランスというのは栄養のバランスもあるけれど、自分が食べたいと思うものを、「体がタンパク質を欲しがっているのね」と思いながらいただくといいのではないでしょうか?

 

──甘い物はがんの餌になるなどと言われますが、食べても大丈夫なのでしょうか?

 

甘い物は確かに療養の過程においてはあまり良いとは言えません。でも、これも質が大事です。

漂白された白砂糖がたくさん入ったものは避けるに越したことはありませんが、我慢することでストレスが生じて、病状を悪化させることだってあるんですね。

例えば、週に1度、3日に1度などと決めて、自分へのご褒美として、おいしいお茶と一緒にチョコレートの1かけをいただく。こういうことがあってもいいと思うのです。

 

私自身、いただいたお菓子を食べることもありますよ。レーズンサンドクッキーなどは大好きなお菓子ですが、好きなものを食べるときは、これは病気に良くないとは考えずに、丁寧にお茶を入れて、本当に喜んでいただきます。

 

そのときにできるだけ選んでほしいのは、質の良いもの。

できれば脂肪分の多い生クリーム系のものではなく、和菓子を選ぶといいですね。果物類も意外と糖分が多いので、摂り過ぎないようにする。基本は、少量をおいしくいただくことです。

すべては関係性の問題なんですね。

 

──関係性の問題ですか? 食とのあいだに関係性があるのですね。

 

あります。がんになると特に大事なのが、食との関係性をどう築くかなんですよ。

 

──そうですか。それは、次回にお話いただきたいと思います。

本日は、ありがとうございました。(聞き手・良本和惠)

 

がんと食事についても触れた以下の本もどうぞご参考にしてください。
甘い物に目がなかった著者が乳がんとなり、最初は西洋医学で対処するも、再発したときに自然の力で治すと決意。
砂糖をいっさい体に入れずにがんを克服した彼女が、甘い物とどう向き合ったかについても綴られています。

鬼塚晶子著『乳がんと里芋湿布~写真でつづる手当て・食事・こころの記録~』

 

藤岡典代(ふじおか・ふみよ)

薬剤師・心理カウンセラー。夫が院長を務める藤岡医院でがん治療コーディネーターとして、患者を心理面から支えてきた。医療の範疇を超えた事業活動をめざして、株式会社テトテトテを設立。料理家の本道佳子さんと共にがん患者と家族のために、病気との決別をおこなう「最期の晩餐・食事会」はメディアを通して注目を浴びる。

☆  ☆  ☆

藤岡靖也+藤岡典代著『最期の晩餐~がん治癒へのターニングポイント』

詳細は、こちらから>>>

【関連書籍】

鬼塚晶子著『乳がんと里芋湿布』の詳細は、こちらから>>>

 

 

この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。