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blog | 2017.01.09
がんを告知されたら、まずすべきこと(心理編)~がん治療コーディネーター藤岡典代さんに聞く(3)
藤岡医院には末期のがん患者さんがセカンドオピニオンを求めてやって来られます。
ところが、ここに集まる患者さんは、明るくてとてもがん患者さんには見えません。
それは院長はじめ、医療者の患者さんへの向き合い方が違うからです。
とりわけ、患者さんを心理面で支えてきた藤岡典代さんの存在が大きく影響しています。
そのご本人が昨年の秋にがんを告知されました。
療養中の典代さんに、患者と心理カウンセラーの両方の立場から、がんを告知されて悩む方々のために、アドバイスをいただきました。
健康に戻るために何が良いか、自分を基準に考える
──がんを告知されると、ほとんどの方は意気消沈してしまわれると思うのですが、医療行為は待ったなしになされていくわけですね。そのときをできるだけ自分らしく乗り越えていくために、どのように過ごせば良いのでしょうか?
告知を受けて1カ月ぐらいは気持ちがざわざわします。それは仕方のないことです。
その時には慌てず、騒がず、健康に戻りたい、病気を治したいというところに軸足を置いて、そこに近づけるために何が良いかを自分の感性に問いかけてみることです。
私どもの元には、大きな病院でがんの告知を受けて、医者に言われるままに治療に飛び込んで、後で疑問を持ってやってこられる方もいれば、これ以上治療しても治らないですよと言われて初めて、うそでしょと思って、やって来られる方もいます。
あるいは、今は情報が溢れる時代ですから、病名を告げられて、そのまま西洋医学を受け容れて良いのかと悩む方もいらっしゃるでしょう。
治療するにしても、別のやり方をするにしても、良くなるためには、家族との関係や医療者との関係を良好にしていくことが大切ですね。
そして、自分が何に対して喜びを感じるかをしっかりと見詰めて、実践していかれることをおすすめします。
私自身は、病気になったことをターニングポイントとして、「私は治療に専念します」と、関係者にお話しし、生活をがらりと変えました。私が良くなっていくために必要なことは、この一瞬一瞬を大切に丁寧に生きていくことだと思ったからです。
今は、たった一人でも丁寧にカフェでいただくようにコーヒーやお茶を入れていただいています。そういう生活をやりたかったのに、本当に忙しくてやれていなかったんですね。
朝、外に出て、太陽の光を浴びて、庭に植えたハーブを摘みます。それをポットに入れ、お湯を注いで、ハーブティやミントティを飲むことも、とても楽しみな時間です。
病気になったからこその恩恵とでもいうのか、それを楽しんでいくと、気持ちが健康になりますから、体が付いてくるんです。
藤岡典代さん
手放していくものを明確にする
健康になるために良いものを手に入れたら、逆に手放していくものを明確にしていきます。
例えば、ご近所づきあいが苦痛であれば、思い切って、病気ですからといって断るのです。
辞めたくてしょうがない職場だったら、退職してしまう。
仲の悪い姑さんとか親戚関係とか、病気を機に距離を置く。
そうやって、自分にとって良いものとは深い関係になり、あまり良くないものとは距離を置いていく。これは健康になっていく上での鉄則です。
私自身も、治っていきたいので、治るために今は断わらねばならないものに対して、はっきりと言うようにしています。
すると、面白いことに、「がんになりましたので」と言うと、多くの人はそれ以上に要求してこないんです。水戸黄門の印籠と一緒ですね(笑)。
ご家庭で、親の面倒を見ているかも知れないし、手のかかる子供がいるかも知れない。
でも自分はどうしたいか。
このまま自分の体を犠牲にして、自分が世話をしたいというのであれば、それは自分の選択だけれども、
いや、治りたいとか、一日でも長く生きたいというのであれば、治療中は介護施設に出すとか保護施設に出すとか、そうした措置は自分の病状をオープンにしない限りできない。
オープンにするということは自分を守ることにつながるわけです。
オープンにして、だれにこの部分を任せ、頼るのかを考えていくのです。
──そのコツについては、次回のブログに掲載しますね。
ありがとうございました。
藤岡典代(ふじおか・ふみよ)
薬剤師・心理カウンセラー。夫が院長を務める藤岡医院でがん治療コーディネーターとして、患者を心理面から支えてきた。医療の範疇を超えた事業活動をめざして、株式会社テトテトテを設立。料理家の本道佳子さんと共にがん患者と家族のために、病気との決別をおこなう「最期の晩餐・食事会」はメディアを通して注目を浴びる。医院の隣にカフェとお菓子の工房「しましまの木」をオープン、がん患者のみならず、地域の憩いの場として人気が高い。
☆ ☆ ☆
藤岡靖也+藤岡典代著『最期の晩餐~がん治癒へのターニングポイント』
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【関連書籍】
鬼塚晶子著『乳がんと里芋湿布』の詳細は、こちらから>>>
- この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
- 書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。