ブログ | グッドブックスは、本の力を信じて"良い本"を作りつづけます。

blogブログ

blog | 2017.05.16

がんの悩みQ&A◎余命を宣告されました。心が落ち着きません。

 

健康診断に引っかかり、精密検査の結果、がんを告知されました。以来、医者に言われるまま数年にわたり治療を続けてきたのですが、再発や転移を起こし、先日、もはや有効な治療方法がないと言われ、余命をうかがうと、半年と告げられてしまいました。

まだまだ人生の道半ばです。このやりきれない気持ちをどこに持って行ったら良いのか、またこれからどう過ごすべきなのか、アドバイスをお願いします。

 

回答者 藤岡典代(ふじおか・ふみよ)先生

がん治療コーディネーター

がんのセカンドオピニオンとして人気の高い藤岡医院で、薬剤師・心理カウンセラーとして患者を心理面から支えてきた。
昨年、自身に肺がんが見つかり、患者の心理をより深く理解できるようになり、その実感を元に回答いただいています。

 

余命宣告はあくまでも平均値、希望は最後まである

 

余命半年と告げられたとき、どんなに辛かったか、そのお気持ち、とてもよく分かります。私も経験しましたから。

人生半ばで、まだまだやりたいことがあるのに先が少ししかないと言われてショックを受けるのは当然のことです。

余命半年を宣告される方の状態は本当に人それぞれで、いろんなところに転移してしまって、その時点で麻薬系の痛み止めを使わなければならないような状況の方もいらっしゃれば、私みたいに腫瘍はあるというだけで、まったく元気な人もいます。

 

そこで、余命について申し上げたいのは、余命半年とはあくまでも医学的なデータに基づいた統計的な期間であって、あなたがそうなるとは限らないということです。

私の夫で藤岡医院の院長は、「余命宣告ほどいい加減なものはない」と言いきっています。がんの種類と進行度で余命を調べることはできるけれど、それはあくまでも平均値であって、目の前の患者さんがあとどれくらい生きられるかなんて分かるはずがないと。

余命半年と言われた人が、それ以上生きられる場合もありますし、奇跡的な治癒を望めないわけではありません。

希望は最後まであると私は信じています。

むしろ、これをどのように生きたいかを考えるチャンスだと捉えて、あなたらしく豊かに生きる。そして希望を見いだせる治療であったり、生き方だったり、どのようにすればいいのかということを考えるチャンスとして捉えていただきたいと思います。

 

治療との関係性や心の持ちよう、暮らし方によって予後が違ってくる

 

私どもの医院には末期と診断されてセカンドオピニオンを求めてやって来られる患者さんが多くいらっしゃいますが、同じ末期でも、その後の経過は、治療との関係性の取り方、治療を含む日々の暮らし方によって、予後の状態がまったく変わってきます。

余命半年と告げられたことで、「そうか、治療をしても半年しか生きられないんだったら、きつい治療に時間をかけるのではなくて、好きなことをして過ごそう」と気持ちも生活も切り替え、それがきっかけとなって、どんどん元気になっていかれる方もいらっしゃいます。

逆に、治らないんだったら、自分の人生にもはや価値がないと、落ち込んでしまって、食欲も失い、どんどん弱っていく方もいます。

このように、余命半年をどう捉えるのかによって、予後は変わってくるものです。

 

決定権を医師から自分へ戻す

 

これから先、何があなたにとって必要なのか、それを探っていくことをお勧めします。

このとき、ひとつ整理しておきたいのは、医師との関わり方です。

特に基幹病院の主治医は、医学的データにしか拠り所を持たない方がいらっしゃいます。

だったら、いっそのこと、「お医者さんは自分の体だけをみてくれる先生」と割り切って付き合うほうがいいと思います。

このことで、あなたに決定権が戻ります。これからのことはあなた自身が決めるのです。

そのうえで、たとえば、統合医療とか診療内科、あるいはカウンセラーにかかるのもひとつでしょう。

心療内科にも、がん患者のための心のサポートをされている医師もおられ、西洋医学の医師とは立ち位置が違います。そうしたサポートが希望に繋がることもあります。

また、専門家にかぎらず、家族でも友人知人でも、自分の不安を遠慮せずにはき出すことができ、それをしっかり受け止めてくれる人がいたら、その方を心の拠り所として、自分の中にため込まずにコミュニケーションをはかってください。

そうした関わりの中で、自分にいま何が必要なのかを探ってみてください。

病気を機に、あなたらしい生活をされることをお祈りしています。

☆  ☆  ☆

藤岡靖也+藤岡典代著『最期の晩餐~がん治癒へのターニングポイント』

詳細は、こちらから>>>

【関連書籍】

鬼塚晶子著『乳がんと里芋湿布』の詳細は、こちらから>>>


この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。