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blog | 2015.03.19

装丁家の仕事、上田晃郷さんにお願いした本

本を作る際に欠かせない装丁家の仕事

 

本を作るのに欠かせないのが装丁で、
それを専門的にやっているのが装丁家とかブックデザイナーと言われる方々です。
私たち(出版社の人間)は「デザイナーさん」と呼んでます。

 

装丁は本のサイズから始まる「本づくり(造本)」全般の仕事を指しますが、
実際には、出版社(編集者)が本のサイズや形、
用紙選択やデザインの方向性と予算を決め、
それに則して、デザイナーさんが
本文・カバー・オビ・表紙、見返しの用紙の選定、そしてデザインをします。

 

文字のみで勝負できるプロ

 

原稿という文字情報を本という形にしていく過程でのやりとりは楽しく、
私は、デザイナーさんと行う本づくりの仕事がとても好きです。

 

新刊の『オウムはなぜ消滅しないのか』は、
本文以外のデザインを上田晃郷さんにお願いしました。

 

上田さんは、文字のみで勝負できる数少ない装丁家さんです。
書店に行くと、上田さんのデザインだとわかる本がけっこう並んでいます。

今回のデザインは、インパクト重視(書店で目立ってほしい)、
しかし、闇のイメージ(黒い)ではなく、パリッとさわやかに白を基調にしたい。
そんな要望を出しました。

 

インパクトを重視するならタイトルを短くした方がいいと指摘されましたが、
考えに考えた末、最終的に長いままでいくことにしました。

そうして出来上がったのが、このデザインです。
確かに書店で目立ちます。

 

カバーだけでなく、オビ、表紙、本扉までが基本

 

そしてカバーをはずすと、こうなります。
真っ黒の表紙に赤い花切れとしおり。
どうでしょう? 

(花切れというのは本の下側に見えている、赤い布のことです。上製本にはこれが付きます。
しおりは下の写真に写っている赤い紐です)

 

じつは、京都の上田さんとは20年来のお付き合いですが、一度も会ったことはありません。
声から察するになかなかのイケメン、そして実際にそうみたい。

 

昔は、月に1、2冊お願いし、累計何十冊かになっているはず。
仕事の話だけでなく、家族を失った悲しみなど、お互い、話したものです。

 

「東京には時々いらっしゃっているんですか?」とうかがうと、
「もう何年行ってないでしょうかね。編集者さんともあまり会いませんよ」

 

やっぱり京都人やわ〜

 

ただ、昔と違っていたのは、紙の版下でのやりとりではなく、
イラストレーターを使ってデータでのやりとりに切り替えられていたことです。
(それは当然でしょう!)

 

(書籍編集者 良本和惠)

中島尚志著『オウムはなぜ消滅しないのか』の詳細は、こちらから>>>

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この記事の作成者:良本和惠(よしもと・かずえ)
書籍編集者。1986年人文社会系の出版社で書籍編集者としてスタート。ビジネス系出版社で書籍部門編集長、雑誌系出版社で月刊誌副編集長をへて独立。2013年夫と共に株式会社グッドブックスを立ち上げる。趣味は草花や樹木を眺めること。