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ママがいい!~母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ~

子育て・絵本社会

ママがいい!~母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ~

松居 和 著

いま、保育園で何が起きているのか?

経済優先の保育政策で社会から失われていく大切なもの。
「エンゼルプラン」「子育て安心プラン」など美しい言葉の裏で、保護者から親として育つ機会を奪い、母親をパワーゲームへと引き込み、保育がビジネス化されていく。盲目的に進みつつある保育のあり方への警鐘!

著者インタビュー記事

1.「ママがいい!」は親への勲章 記事はこちらから>>>
2. いま、保育園で何が起きているのか 記事は、こちらから>>>
3. 乳幼児とかかわる大人の資質 記事は、こちらから>>>
4. 欧米の悲劇、日本の奇跡 記事は、こちらから>>> 

 

いま、乳幼児に何が起きているのか


抱っこされてスヤスヤ眠る赤ん坊
砂場で一心に遊ぶ幼児……
乳幼児は、見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれます。

そんな乳幼児を「国じゅうで粗雑に扱っている」と主張するのが、本書の著者 松居和さんです。

0,1,2歳の子どもにとって、母親は「世界のすべて」ともいえる存在です。
しかし、ここ数年の保育政策は、母子分離の時間を長時間化させ(保育の標準時間は11時間へ)、しかも0歳から預けよといわんばかりの政策が次々と進められています。「待機児童ゼロ」「エンゼルプラン」「子育て安心プラン」といった、何か良いことが待っているかのような言葉を使って。

砂場

保育現場がいだく不安と危機感


そもそも保育園は家庭での養育に欠ける事情がある場合に子どもを預かるという目的で設立されました。
保育士は親と一緒に園児をかわいがり、「子どもの最善の利益を優先し」という指針の言葉に沿って、時には親を指導して、親子を支えてきたのです。

ところが長時間保育と、0,1,2歳児の急増によって、保育士が園児一人ひとりにじゅうぶんに向き合えなくなり、
保育をパートでつないでもかまわないという方針まで出てきています。

加えて、保育の社会化ともいえる政策により、やってもらって当たり前、土日におむつも替えない親も出現している、という現場の声さえ聞こえます。

 

ビジネス化する保育、現場では虐待も

 

0歳児一人を預かると自治体によっては月60万円の補助が出るといいます。

いまやそれらの補助がなければ経営が成り立たない園も出てきており、
一方で、保育を儲かるビジネスとして、新規参入業者も急増しているそうです。
政府のほうも、「保育は成長産業」と言ってのける始末です。

保育の現場は疲弊し、幼児への虐待という悲しい実態も本書で明かされています。それが学校教育に連鎖している。いじめや学級崩壊、不登校、引きこもりなどの問題の根がそこにあると、著者は書きます。

 

アメリカの現状に危機を覚えて帰国

 

アメリカを拠点に音楽活動をおこない、50本以上のアメリカ映画にも参加してきた松居和さん(下の写真はジョージ・ルーカス氏と)は、家庭崩壊や教育崩壊の現状を目の当たりにし、「こうした現状は日本にもやって来る」と危機感をいだいて帰国。アメリカの崩壊の現状をビデオにして、警鐘を鳴らしてきました。

 

ジョージルーカスと

それに敏感に応えたのが、日本の保育園の園長さんや保育士さんでした。

全国の保育園・幼稚園、自治体で講演数は年に100回を越えるほど共感の渦は広がっていき、衆議院に公述人、参考人としても呼ばれましたが、
政府による保育政策は母子分離にますます拍車を掛け、保育の現場は疲れ果て、精神的に追い詰められています。

でも今、方向転換したら日本はまだ間に合うかもしれないと、希望を託して書かれたのが本書です。

本書は、
「子どもを犠牲にして進められる保育政策」(第1章)、
「ビジネス化する保育」(第2章)、
「母子分離の悲劇」(第3章)、
「ひずみ──悲しき虐待」(第4章)
といった保育政策が引き起こす負の現実のほか、
著者が埼玉県教育委員長として推進した「一日保育者体験」(幼児の両親が保育園幼稚園で一日をすごす体験)による奇跡的な成果
「幼児の力による親心の回復」(第5章)、
「親を支える保育現場の努力と祈り」(第6章)
といった解決策や希望も収録しています。

子どもの今は、社会の未来でもあります。保育、教育に携わる現場の方々、行政、政府関係者、小さいお子さんをもつ保護者、祖父母世代、すべての人々に読んでいただきたい本です。

ママがいい書影帯付き輪郭

松居和著『ママがいい!~母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ~』
四六判並製、224ページ 定価1,650円(1,500円+税)

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著者について

松居 (まつい・かず)

音楽家・作家・元埼玉県教育委員長

1954年東京生まれ。慶應義塾大学哲学科からカリフォルニア大学(UCLA)民族芸術科に編入、卒業。尺八奏者としてジョージ・ルーカス制作の「ウィロー」、スピルバーグ監督の「太陽の帝国」、ブラッド・ピット主演「レジエンドオブフォール」をはじめ多数のアメリカ映画に参加。1988年アメリカにおける学校教育の危機、家庭崩壊の現状を報告したビデオ「今、アメリカで」を制作。
1990年より98年東洋英和女学院短期大学保育科講師。
NHK「すくすくあかちゃん」、静岡テレビ「テレビ寺子屋」出演。衆議院・税と社会保障一体化特別委員会公述人、衆議院内閣府委員会「保育の無償化」参考人を務める。
朝日新聞「私の視点」、文藝春秋社「日本の論点」に執筆。衆議院調査局発行「RESEARCH BUREAU 論究 第16号 2019.12」に提言論文「子供を優先する、子育て支援」執筆(衆議院HPで閲覧可)。「先進国社会における家庭崩壊」「保育者の役割」に関する講演を保育・教育関係者、父母対象に行い、欧米の後を追う日本の状況に警鐘を鳴らしている。
制作監督したドキュメンタリー映画「シスター・チャンドラとシャクティの踊り手たち~インドで女性の人権問題で闘う修道女の話~」が第41回ワールドフェスト・ヒューストン国際映画祭、長編ドキュメンタリー部門で金賞受賞。
著書に『家庭崩壊・学級崩壊・学校崩壊』『21 世紀の子育て』『なぜわたしたちは 0 歳児を授かるのか』などがある。
(松居和氏への講演依頼はmatsuikazu6@gmail.comまでどうぞ)

 

本書の構成

 

第1章 子どもを犠牲にして進められる保育政策
子育て放棄支援と化した政策/保育を巨大な成長産業と位置づけた政府/子育てが人間の手から離れていく/保育所に入りたい待機児童はいない/一億総活躍社会の裏にあるもの/子どもを犠牲にして進められた「新エンゼルプラン」/十一時間保育が壊したもの/保育崩壊の最後の一撃「保育の無償化」/安易に見習ってはならない「欧米先進国」の制度、ほか

第2章 ビジネス化する保育
保育の基本を知らない人たちの参入が始まった/ある企業型保育園の実態/「三年経ったら園長にしてあげる」/幸福を金額で計る流れは国をも滅ぼす

第3章 母子分離の悲劇
「ママがいいー」と泣き叫ぶ子どもたち/「世界を信じることができるか?」は乳児期に決まる/パニックを起こす子/手のかからない子の悲しみ/押し付け合いが始まった/男女平等を計るモノサシと幸福論/「小一の壁」/「家庭の子育て力」が落ちたアメリカ/「話しかけるな、抱っこするな」/「私がここにいないほうがいいんです」、ほか

第4章 ひずみ──悲しき虐待 
主任さんの涙/良心を捨てるか、保育士を辞めるか/男性保育士による性的虐待の可能性/「保育士の虐待?」を訴える親のネットでのQ&A/「なんで感謝しなければいけないんですか?」/幼児の扱い方が国じゅうで粗雑になっている/里親制度の落とし穴/いじめと「第三者委員会」

第5章 幼児の力による親心の回復
一日保育者体験/父親が泣いた日/保育者体験の効用/手取り十五万円に届かない保育士たちが見つめていた/男は子育てに向かないか?/無心な幼児が教える「大切なこと」/男子は子どもに還り、女子は母の顔になる/赤ん坊が絆を育てる/父親の心に灯をともす、ほか

第6章 親を支える保育現場の努力と祈り
父親をウサギにする権利/子どもに無関心だった父親たちが二十四時間で変わった/父親のいない子どもへの配慮は必要か/噛みつく子、笑わない子/保育士の喜び/心療内科で薬をもらう

あとがきに変えて 待機児童がゼロになる時

 

討論番組(チャンネル桜の「闘論、倒論、討論」)に著者が登場しました。本番組のディレクターが本書を読まれて企画されたとのことで、保育政策や社会における幼児の存在が中心テーマとなっています。

番組アーカイブは、こちらから>>>

 

 

『ママがいい!』の著者・松居和さんに聞く

1.「ママがいい!」は親への勲章 記事はこちらから>>>

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メディア情報

◎「お母さん業界新聞」7月号で紹介されました。
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